• 2016/04/21 掲載

企業が「インダストリー4.0」に投資する額、年間100兆円超に-PwC調査(2/2)

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インダストリー4.0を阻むのは、専門技術者の不足

 調査によると、企業がインダストリー4.0を導入するに当たって深刻な問題となるのは、テクノロジーそのものの獲得よりもむしろ、社内の文化やビジョン、教育体制がデジタル化に対応できていないことや、専門技術者が不足していること。

 具体的には、企業の40%近くがデータ分析の専門技術を従業員個人の能力に依存しており、データ分析の専門部署を持っていないと答えている。前出のガイスバウアー氏は次のように述べている。

「しっかりとしたデータ分析とデジタル化のノウハウを社内に構築することが重要。データの収集や評価を個々の専門技術者が行っている状況では、インダストリー4.0を十分に活用することはできない。データに基づく経営の意思決定を実現するためには、高度で専門的な手法でデータを蓄積するとともに、アルゴリズムを構築し、実現可能な提案を導き出すことが求められる」

 また、調査報告書ではデジタル化を成功させるための必要条件であるデータセキュリティ確保についても解説している。

「デジタルエコシステムが機能するためには、全ての参加者がデータが悪意ある第三者の手に渡らないと確信できることが重要だ。データセキュリティの確保に向けて企業は全力で努力し、システムセキュリティに十分な投資を行い、データ保護の明確な基準を設定すべき」(ガイスバウアー氏)

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PwCが発表したレポート
 デジタル化は企業のバリューチェーンにおいて、垂直、水平の両方向にかかわる問題といえる。すなわち一方では、製品開発から調達、製造、物流まで全てのプロセスを垂直統合し、データの流れをデジタル化しながら、他方では、主要サプライヤー、クライアント、その他の関係者を水平ネットワークでつなぎ、追跡ソリューションなどを使って製品の流れを追うといったことが必要になる。

 したがって、デジタル化への対応のためには、複雑なソリューションを構築しなければならない。また各社はデジタル機能を持ち合わせた製品やサービスの開発を進めているが、こうした開発では製品のライフサイクル全体を視野に入れる必要があり、その結果、最終消費者との密接なコミュニケーションが可能となる。

 さらにサービスのデジタル化にも投資を行い、クライアントが関与するデジタルエコシステム全体を網羅するビジネスモデルに基づいたソリューションを創り出そうとしている。こうした取り組みは、多くの場合バリューチェーンを共有するパートナー企業と共同で実施している。

デジタル化の目的は、国ごとに異なる

 世界中の企業がインダストリー4.0を推進しているなかで、調査では地域ごとの目的の差が明らかになった。日本とドイツが生産効率の改善や製品品質の向上を最優先目標とする一方、米国では製品やサービスのデジタル化によって新しいビジネスモデルを開発し、デジタル技術を駆使した製品やサービスを一刻も早く消費者に届けることを目指す傾向が見受けられる。また中国は、コストを削減して製造業の国際競争力を維持しようとしているという。

「調査によると、今後5年間、デジタル化は日本、ドイツ、米国など数カ国がリードするものの、他の地域もおおむね同レベルで進むと考えられる。インダストリー4.0によって、企業と企業、国と国の結合が強くなり、その結果グローバリゼーションはさらに進むでしょう」(ベッゾ氏)

 レポートの詳細は同社サイト(英語)よりダウンロードできる。

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