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  • 2016/03/16 掲載

日産自動車 佐藤部長「未来のクルマの価値は、ソフトウェアで創り出される時代に入る」

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エネルギー、温暖化、渋滞、交通事故など、自動車を取り巻く課題は山積みだ。日産自動車(以下、日産) では、こうした課題を解決するために、環境や安全に対する取り組みを進めてきた。実際、2014年には、平均燃費を36%(2005年比)も節約し、さらに事故による死亡・重症者数を61%(1995年比)も減少させているという。日産で企画・先行技術開発本部 技術企画部 部長をつとめる佐藤 学氏は、「我々は、さらに高い目標を持って自動車の開発を進めている。そのための技術的なアプローチとして、クルマの"電動化”と“知能化”が必要だ」と語り、クルマの未来像について解説した。
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日産リーフ

LEAFの走行距離を大幅に伸ばした電動化への取り組み

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 まず佐藤氏は、電動化への取り組みとして、同社の電気自動車「LEAF(リーフ)」が米国で走行した軌跡をデータで示し、「ロサンゼルスでは道路地図がイメージできるぐらい、LEAFが網羅的に走りまわっている。現在のグローバルでの販売台数は19万5000台(2015年10月末時点)で、合計走行距離は地球と太陽の13往復に匹敵する39億㎞。その結果としてCO2を従来より64万トンも削減できた」とアピールした。

 佐藤氏によれば、ワールドワイドでのLEAF販売台数は、年を追うごとに伸びているという。2010年段階では1万台に満たなかったが、2015年には19.5万台になった。その内訳は米国が8.7万台、日本が5.7万台、欧州が4.7万台、その他で0.4万台。同社の電気自動車(以下、EV)全体の販売も続伸しており、累計58.1万台に達している(2015年10月末時点)。

 技術的には、LEAFの走行距離の伸びが大きなポイントだ。一回のフル充電の走行距離は、当初は200㎞だったが、2015年時点で280㎞まで伸びた。これは、軽量化、効率化に加えて、バッテリー容量の拡大を図ったためだ。

「次世代のLEAFは、バッテリーのコストパフォーマンスの進化や、クルマ全体の効率化により、さらに走行距離を伸ばしていく方針だ」(佐藤氏)

 クルマの電動化は、いわゆるパワーソース(パワートレイン)に留まるものでなく、走る・曲がる・停まるといった制御系コンポーネントの電動化によっても影響するものだ。燃費の向上はもちろん、より大きなパワーで素早く作動できる高度な制御技術が進歩してきた。その大きな原動力になるのが「クルマの知能化」だ。

知能化のコンセプト「セーフティ・シールド」を基に自動運転を推進

 もう1つ、日産が進める知能化のコンセプトは「セーフティ・シールド」だ。ドライバーを可能な限り危険に近づけないように、クルマ(機械)の能力でサポートする「予防安全」と、万が一衝突が避けられない場合でも被害を最小限に留める「衝突安全」の考え方がベースにある。

 佐藤氏は「人の能力を機械によって補完することで、従来の100倍ぐらいは能力を高められると考えている。これを実現するのが、『知能化されたクルマ』の1つのチャレンジになるだろう」と力説する。

 これまで同社は、セーフティ・シールド技術として「車線逸脱防止支援システム」「後側方衝突防止支援システム」「移動物検知付きアラウンドビューモニター」「後退時突防止支援システム」「エマージェンシー・ブレーキ」などの機能を徐々に追加し、現在では全方位360度の運転支援を実現している。

 「これらのセーフティ・シールド技術が次の自動運転へ向けた大きな推進力になっていることは間違いない。我々は、マーケットからの信頼を積み上げながら、段階的に自動運転の技術を投入し、2020年までの商品化を目指している」とし、自動運転のパイロット・ドライブのロードマップを示した。

 まず2016年に第一ステップとして、車線変更を伴わず(単一レーン)、渋滞支援を行う自動運転機能を搭載する。2018年には、第二ステップとして、高速道路で車線変更をしながら目的地まで自動運転が可能なクルマを目指している。そして2020年には、いよいよ第三ステップとして、市街地に出て交差点に対応できる機能を盛り込んでいく予定だ。



 パイロット・ドライブに関しては、米国のみならず、国内でも公道実証実験を行っている。ナビゲーションを設定し、ルートガイドに沿って一般道を自動走行する実験だ。2015年は、東京ビッグサイトを起点に、分岐・車線変更・合流・左折を含む約17㎞、30分のコースを自動で走行している。

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