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- 2014/07/14 掲載
NTTデータ 岩本敏男 社長が示す、ビッグデータによる「万物の可視化」がもたらすもの
データ→情報→インテリジェンスの“ロードマップ”

代表取締役社長
岩本 敏男 氏
実際、ICT技術は指数関数的に発展しており、技術的にもコスト的にも実現が難しいとされていたデータ解析も短時間かつ低コストで実現可能となった。たとえば1990年代には「数千億円のコストと10年単位の歳月が必要」と言われたヒトゲノム解析も、現在では10万円程度で24時間以内に解析できるようになっている。
こうした潮流において、データサイエンスは、どのような未来社会の形成に貢献するのだろうか。岩元氏は、「データサイエンスの進化で、データは意思決定の源泉であるインテリジェンスに飛翔する」と指摘する。
データは世の中で起こる膨大な事実の集合体であり、それ自身に意味はない。これをアプリケーションなどの“フィルター”でサンプリングや加工し、行動に必要な情報(インフォメーション)を抽出する。ここまではすでに自動化されている領域だが、今後は、情報を次の行動を決めるための「インテリジェンス」に昇華させることも、データサイエンスで可能になるという。
たとえば、企業が合併や買収(M&A)を手がける際には、対象企業に関するデータを収集する。その際には単なる会社データだけでなく、成長率や市場シェア、自社との合体によるシナジー効果など、多角的なデータを収集/分析し、情報にまとめる。
そして、「企業哲学や信念過去の経験則」といった“インテリジェンス・フィルター”を通じて「このM&Aは自社にとって必要か」を最終判断する。しかし、今後はこの“インテリジェンス・フィルター”も、データサイエンスによる可視化で、人々が予期せぬ新しい世界が作りされる可能性があるという。
こうした未来の一翼を担っているのは、ICTの進化である。たとえば、ストレージは大容量化が進み、6TB(テラバイト)の3.5インチHDDが7万円前後で購入できるようになった。CPUは「ムーアの法則」を上回るスピードで性能向上している。また、ネットワークの大容量化も目覚ましく、NTT研究所の中では100T(テラバイト)bps(100兆bps)の伝送が実現されており、実験室ベースでは1P(ペタバイト)bpsの伝送実験も成功している。
【次ページ】ビッグデータの可視化で生まれる新たなビジネス
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