- 2014/01/20 掲載
大手スーパーマーケット バロー「OSや端末にとらわれない業務システムを実現」(2/2)
ハンディターミナル業務システムに威力を発揮する「Biz/Browser」
店舗と本部のネットワークを業務系と情報系で二重化することで可用性を担保
新店舗システムに移行し、端末をPDAに変更したことで、現場からほとんどの店舗オペレーションが行えるようになった。商品の発注から移動、在庫報告、返品、破棄、棚卸、照会まで、約30画面をすべて「Biz/Browser」で作成したという。システム構成は以下のとおりだ。まず店舗にはAPを配置し、無線LANでPDAとつなぐ。本部と各店舗の通信は、業務系と情報系の2系統のネットワークを用意することで可用性を高めている。通常の業務系は専用線で接続しているが、メール、TV会議、IP電話などは情報系のVPNを利用する形だ。
畑中氏は「現場からPDAで商品の発注をかけるので、ネットワークが1本だと万が一何かあったときに業務に支障をきたす恐れがあるため、冗長構成のネットワークにしました」と語る。
本部には全事業部をカバーするPDAサーバ7台があり、そこにアクセスしてデータベースに発注データを書き込んだり、商品マスターから照会をしたり、さまざまな作業が行える。もちろんPDAサーバは基幹システムとも連携している。またPOSのセンターサーバもあり、店頭に置いた商品の価格と、レジの売価が同じかどうかを常にチェックしているという。このほかSSO(Single Sign-On)サーバによる認証系も用意したそうだ。
Galaxy S II用のスキャン・ジャケットを転用してiPodやiPadに利用するアイデアも
さて今後の予定だが、2つの流れが考えられるという。まず端末の分化だ。棚卸をはじめとする入力端末は堅牢さが求められるし、バーコードスキャン機能やテンキーも必要だ。このようなニーズに特化した端末を採用する方向がある。もう1つの方向は、各種の情報照会や内線電話に使える端末の導入だ。「米国ではiPhoneを活用して、ウォーキートーキー(内線電話)や情報照会が行えるシステムも売られています。そういう仕組みも欲しいのですが、ある程度は台数をまとめたい。いまは1店舗あたり5台ほど端末を入れていますが、それでは足りないと感じています。多くの端末を導入するとき、やはり低価格は絶対条件になりますが、国産ベンダーだとなかなか難しいのです」
そのような状況で、同社はさまざまな端末をトライアルで使い、試行錯誤を行っているところだ。まもなくiPod、iPad版の「Biz/Browser」がリリースされるため、それも視野に入れているという。
「これまでPDAで利用していたアプリケーションがiPodでも動作するようになります。iPodは2万円前半から購入できるので選択肢の1つになるかもしれません。バーコードスキャナー機能については、Galaxy S II用のスキャン・ジャケットで、iPodやiPadにも利用できるものがあると聞いています。まだ店舗に展開するには問題も残っていますが、こういったものを必要なときに装着して使うことも選択肢としては参考になります」
実際に、いま富士通のPDA(Windows CE)用に開発した業務アプリケーションをGalaxy S II用(Android)に移植して今後の可能性を検討中だという。テンキーや画面サイズが異なるので、細かい部分の調整は必要だが、基本部分に関しては「Biz/Browser」で対応できる点は大きいと評価しているそうだ。
「我々は低価格な機器の導入を志向していますが、今後これが店舗のオペレーションを変えていく可能性を秘めていると考えています。その半面、メーカーに依存してしまうと振り回されることもあるため、リスクを抑える必要もあるでしょう。そういう意味では、流用性の高い資産を開発できる『Biz/Browser』は非常に有効だと思います」
最後に畑中氏は、自身の目指す未来端末として、映画の「StarTreck」に出てくる「トライコーダ」のようなものをイメージしているとした。「トライコーダは分析・探知・記録が1台で足りる便利なツールとして描かれていました。なおかつ音声認識でつながる内線電話もつくりたい。10年前は、こんな機能は無理だと思っていましたが、最近では音声認識も実現しました。そんなことを考えながら、新しい店舗システムを開発していきたいと考えています」と抱負を述べた。
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