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- 2014/01/06 掲載
戸田覚氏が辛口チェック、なぜその企画書は経営層に伝わらないのか
戸田氏が指摘するIT系企業の企画書が持つ課題
企業の社内勉強会やセミナーに参加することも多く、これまで1000本を超える企画書を見てきたという戸田氏は、その経験から、IT系企業の企画書には、いくつか共通点があると指摘する。
「まず、ページが多いという特徴があります。しかも、どれも同じに見えます。ある企業の役員の方が『ページ数が多すぎて、いったいどこを読んだらいいのかわからない』と話されていましたが、まさにそのとおりだと思います。さらに、専門用語が多い。経営者に関心があるのは、利益や効率です。会社がいくら儲かるか、人数をどれだけ減らせるか、時間をどれだけ短縮できるかに関心があるのであって、システムに興味はありません。情報システム部門の方とお会いすると『上が分かってくれない』という声をよく聞きますが、それは上がわかってくれないのではなくて、皆さんがわからせていないのです」(戸田氏)
また、導入後のメリットを伝えるだけではなく、入れたあとで発生する問題や課題が書かれていない企画書も多いという。実際には書かれていても、ページ数が多く、専門用語で説明されているため、経営層に伝わらず、導入後に「それは聞いていない」というトラブルになるケースも少なくないということだ。
経営層が読む時間は7分、グラフは見るべき箇所がわかるように
まず、取り上げた企画書が72ページあり、IT系企業の企画書の特徴にピタリと当てはまると指摘したうえで、プレゼンテーションと企画書の違いについて、次のように説明した。
「プレゼンテーションは言葉で説明しますから、資料には箇条書きや図などのエッセンスだけを書きます。一方、企画書は、言葉による説明がなくても、受け取った側が理解できなければなりません。これがプレゼンテーションと企画書の違いです。これを混同すると、プレゼンテーションなのに文字がたくさん書いてあったり、企画書なのに読んでもわからなかったりといったことになるのです」(戸田氏)
また、役員に企画書を渡した場合、それを役員が見る平均時間は7分であると紹介し、どうしてもボリュームが増えてしまう場合は、目次を付けて、最も見てほしいページに付箋を貼っておくとよいとアドバイスした。よく利用されるグラフについても、その意図を相手に伝えるには、ただグラフを作っただけでは不十分であるとして、次のように説明した。
「グラフを作る側は、グラフ化したことで、相手が理解してくれていると思っていますが、グラフを見る側は必ずしも理解しているとはかぎりません。グラフの意図を正しく相手に伝えるには、グラフのどこを見ればよいのかを、しっかりとわかるようにすることが重要です」(戸田氏)
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