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- 2013/06/24 掲載
ガートナー ロズウェル氏:ソーシャルメディア分析を机上戦略ではなく具体策で考える
新たな洞察を得る分析ツールの活用
たとえば、Web上で自由に入手できる情報をもとに、ソーシャルアナリティクスの専門会社が独自に行った調査結果によって3つのビール会社に対するセンチメントを比較した時、A社に対するコメントには“プレミアム”という言葉が、B社に対するコメントには“キャンペーン”という言葉が、C社に対するコメントには“汚染”という言葉が頻繁に出現したとする。すると各社コメント群の中で各々、“プレミアム”“キャンペーン”“汚染”という文字が一段と大きく表記され、さらにそれがいい評価なら緑色、悪い評価なら赤色で示されるというものだ。
この結果を見て、C社のプロダクトマネジャーが、他の2社には緑の文字で示されるセンチメントが多いのに、自社に対するセンチメントでは赤字のほうが多いと分かれば、“赤字で大きく表記されたセンチメントから優先順位を付けて、対応策を考えていかなければならない”という気付きを得ることができる。
「センチメント分析によって、消費者が自社製品あるいは他社製品にどんな感情を抱いているのかを直観的に知ることができる。製品イメージだけでなく、ブランドイメージなども探ることも可能だ。」
「ただしまだ多くの課題も残されている。言葉の意味合いは時の経過とともに変わっていくし、また“電話で待たせるなんて、なんて素晴らしい対応だ”といったように、(単純に字面だけで読み取れない)皮肉的な表現もある。まずはITによってあらゆる情報を集め、重要なものは人が解釈し、幅広い情報はツールで見ていくという段階を踏むのが有益だと考えている。」
次にロズウェル氏は、ある個人がソーシャルネットワーク上に公開しているプロフィール情報などを活用するソーシャルネットワーク分析を紹介し、テキスト分析よりも深い分析が可能になると指摘した。
「ソーシャルネットワーク分析では、あるネットワークの中心にいるのは誰なのか、つまりそのネットワーク全体に影響力を持つ人は誰なのかを見ていく。たとえば企業が自社製品に興味を持つグループがどこにあり、その中心人物が誰なのかを特定することは非常にメリットがある。」
そして将来的には、個々のネットワークが重なる部分をよく理解していくことが大事だという。
「たとえばまず自社製品に高い関心を示しているネットワークを把握し、次に競合他社の製品に関心を示しているネットワークとの間に相互作用がないか、あるいはビジネスパートナーとの間に相互作用がないかを見ていく。」
またソーシャルネットワーク分析では、人同士の繋がりだけでなく、モノ同士の繋がりも明らかにすることができる。
ある自動車の修理工場では、保証期間内にエアコンが壊れて修理に出されてきた自動車が、修理後に一旦所有者に返されるものの、すぐにまた別の箇所が故障して修理にやってくるという事態が多々あった。
そこでソーシャルネットワーク分析を行ったところ、エアコンの故障後には、ラジエタと温度計という2つの箇所の故障が多発していることが分かった。そこでエアコンの故障に出されてきた自動車があれば、同時にラジエタと温度計も検査するという対応策を採ったという。
「その結果、保証期間内の修理回数は減り、工場側のコストも減り、顧客満足度も向上した。ソーシャルネットワーク分析によって、ビジネス上の効果を獲得できた好例だ。」
【次ページ】目を向けたくない結果だったときにきちんと行動できるか
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