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  • 2013/04/19 掲載

【ネット選挙で新しい政治を作ろう!(10)】4月12日、ネット選挙運動解禁法案が衆議院を通過!(4/4)

連載『ふじすえ健三のビジネス+IT潮流』 

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政党のバナー広告など有料ネット広告の利用

 今回の法改正で政党等は、有料のネット広告ができるようになる。
しかしながら、藤末はこの点にやや懸念を持つ。それは、「政党等の選挙運動に係る費用制限がない」からである。例えば、 自民党の中村委員は「政党等には法定選挙費用というのは制限はあるのでしょうか。」と質問し、総務省米田選挙部長は「現行法の解釈についてお答え申し上げます。衆議院の小選挙区選挙における候補者届け出政党、それから衆議院及び参議院比例代表選挙における名簿届け出政党等につきましては、選挙運動に係る費用制限は現行法上ございません。」と答えている。

 第8回でアメリカの「ワグマン事件」について書いたが、政党がバナー広告を出して、ワンクリックでいくら払うとした場合、資金力が高い政党のサイトばかりが検索に引っかかることにならないかを危惧する。

 ワグマン事件の時には、「フロリダ市長選挙」と検索しても「ワグマン候補」の名前しか出なくなり、また、他の候補者の名前を入れても「ワグマン候補」の名前が出るようになった。これは法律違反とはならなかったが、この選挙後に州政府は選挙法を改正した。 これは、日本でも十分起こり得ることだと思う。

ガイドラインの必要性

 今回の改正で大きなポイントは「電子メールは、みずからのメールアドレスを記載することの違反に関しては罰則規定を設けている」とことです。

 自民党の中村委員が「法が成立すると、インターネット選挙が解禁されたという印象を有権者が持つことから、一般有権者が選挙期間中に不用意に電子メールを送ってしまい、刑事罰を受ける危険性が高まることにつながります。」と指摘している。
まさにその通りです。

 また、 維新坂元委員の質問に「選挙公報や法定候補者のビラを、今回の法改正によって、候補者のウエブサイトにアップすることは可能になりますでしょうか。」とあるが、この答えは、「YES」である。

 では、「候補者の政見放送を候補者のウエブサイトのアップできるか?」はどうかというと、答えは「NO」となる。
奥野議員(民主)は「政見放送についてでありますけれども、政見放送そのものを録画してアップすることは著作者隣接権の問題があってできないのであります」となっているのだ。
この点は、ガイドラインを整備し、ネットだけでなく、新聞などでも知らせていこうということで落ち着いている。

議論されていな論点

 相当、圧縮して衆議院における審議について書いたが、藤末が8時間半の議事録を読み整理したのが以上である。
では、どのような点の議論が不足しているか、藤末なりにまとめてみた。
これらのポイントは、参議院の倫理選挙特別委員会で質疑を行い明確にしていく。

(1)政治家の活動に関する情報の発信について

国会は、ネットを通じた政治家の国会活動の有権者への伝達をより質的・量的拡大しなければならないが、特に夏に選挙がある参議院の取組状況はどうか。現状において、衆議院と比べて審議のネット映像の精度が低いが、システム上の問題はないか。また、国会の出席の一覧など情報の整理が十分だと思えないが、至急整備すべきではないか。(参議院事務総長に質問)

(2)虚偽情報などへの対応

虚偽の情報がWIKIPEDIAやYAHOOといったプラットフォームサイトに掲載された場合、プロバイダーに簡単に連絡がつくように各プロバイダーに窓口を設置してもらい、各候補者に連絡先を徹底すべきとかんがえるがどうか。(総務省に質問)
現状だと各選挙管理委員会がネット選挙運動に対応できないと危惧する。選挙管理委員会の職員に研修などを行うべき。(総務省)
また、将来的に韓国のように各選挙管理委員会にネット選挙活動の担当者を置くべきと考える。(総務省)
ネット選挙活動違反について罰則を設けているが、構成要件をより明確にしなければ混乱が生じる。例えば、電子メールの氏名不記載についての刑罰の構成要件はどうなるか。(提案者に質問)

(3)海外からの選挙活動への介入

海外からネットを通じて選挙活動に介入された場合の対応はどうなるか。(警察庁)
Googleで「参議院選挙」検索した場合、トップページに来るかどうかが非常に重要となる。そのような検索順番を公職選挙法という国内法の網がかからない外国企業が担うことへの対応。Googleの利益に反する日本の国会議員が不利益をもたらされても検証することさえもできない。(総務省)

(4)ネット選挙解禁による選挙コストの削減について

政党の有料ネット広報活動は許可されるが、政党の資金力による格差が生じるのではないか。実際にアメリカにおいては、google-adwordsを使いワンクリックの実績で支払いをし、問題になった事例(ワグマン事件)がある。(提案者)
政治活動期間中にプロモーションビデオなどネット広告に莫大なお金を使い、そのまま選挙活動に入ったことが韓国で問題になっている。そして、韓国では投票日前の180日間はネットにおける活動を禁止したこともある。我が国においても政治活動において費用をかけてネットのコンテンツを作り、それをそのまま選挙期間も使うことが危惧ざれるがどうか。(提案者)
公選ハガキ、ポスター、ビラ等の全体費用はいくらか。また、ネット選挙活動を解禁したことによりこれを削減できるのではないか。(総務省) となる。

みなさんのご意見を頂きたい。 参議院では4月18日に委員会審議で、19日に本会議で採決されることになりそうだ。


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