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- 2013/03/21 掲載
ゼンショー HD 野々下信也 執行役員が語る、外食トップへの急成長を支えたグループIT戦略
成功のポイントはスパイラルモデル
M&A推進の一方で、類似システムが乱立する状況に
当時のグループITにおける課題は、M&Aを繰り返してきたことで、すき家やココスといった業態ごとにPOSシステムを持ち、またバックヤード側の発注管理や物流管理、あるいは人事/給与、経理といったシステムも別々に存在していたことだ。ガートナー エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2013で登壇した野々下氏は次のように語る。
「バックヤードの本部/物流/工場系と経理系のシステムについては、すべて同じシステムでいけるのではないかと考え、これらを統合化し、効率化を図ることを目指した。いわゆる基幹システムに相当するもので、原材料の調達から製造、物流、販売までを一貫して管理するためのるMMD(マス・マーチャンダイジング)システムだ。一方、店舗系のPOSシステムは業態によってオペレーションが若干異なるので、ファミリーレストラン系とファストフード系に分けて統合化を図ることにした。」(野々下氏)
また自社の成長スピードに対応できる柔軟な拡張性と信頼性、パフォーマンスを兼ね備えていることも重要な要件で、さらに翌2008年はJ-SOX法が施行される年だったため、内部統制に基づくIT統制を意識しながらシステムを構築していく必要があった。
同社は当初、導入期間短縮のためにも、ERPパッケージを利用しようと考えていたという。
「私の入社前からERPの導入は検討されていたようだ。しかし競合他社との差別化を図るためのグループIT戦略を考えていく中で、ERPでは難しいと思った。経営トップの強い意志と、日々改善活動が活発に行われている現場の意向を十分にサポートするためには、次から次へとシステムを変化させていかなければならない。そうした環境にERPは恐らくフィットしないし、製品自体も高価なものだ。そこで求めるシステムを自社で開発していくことにした。」(野々下氏)
【次ページ】機会損失低減のための仕組みとは
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