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- 2012/05/31 掲載
商品価値を高めるための「0・1・2・3」 : 二代目社長の“値上げ”マーケティング(2)
自らの価値を高めるには?
高くても喜ばれる店を目指す
「いよいよ今回から値上げコンサルティングの核心部分に入ります。ただ、その前に聞いておきたいことがあります」
「なんでしょうか?」
「率直に言って、『値上げコンサルティング』と聞いて、どう思われました?」
修平は一瞬沈黙し、答えた。
「そうですね、基本的にお客さんを喜ばせるには値下げをしなきゃ、という思いがあるので…。前回、値下げをすると儲かりにくくなる、ということは理屈としては確かにわかりました。でもお客さんとしてはできれば安いほうが助かるし、自分もできるならば安く提供したいですよね。あ、もちろん利益を考えて、ですけど」
幸田はゆっくりとうなずいた。
「なるほど。確かにそうです。高いよりは安いほうがいいですからね。私だって買い物をするときは同じです。以前、消費者の団体から『消費者になるべく安く提供するのが事業者の務めではないのか!高く売りつけようなんてけしからん!』なんて、お叱りを受けたこともありましたね」
幸田は微笑みながら、穏やかな口調で話し続けた。
「ただ、私は『自分で自分の首を絞める、安易な値下げをやめよう』『それよりも、高くてもお客さんに喜ばれるようなお店にしよう』という意味で、『値上げコンサルティング』と呼んでいるだけなんです。決して、粗悪品を騙して高く売りつけようとか、そういった意図ではないのです。大事なのは、高くても買ってもらえるよう、自らの価値を高めよう、ということなのです」
自らの価値を高める…修平はメモを取った。価値とは何だろうか。経営者として、おいしいケーキを手頃な値段で提供しよう、ということは前々から思っていた。それは価値とは違うのだろうか。美味しいケーキを一生懸命に作って安く提供する、というだけではダメなのだろうか。修平はゆっくりと口を開いた。
幸田は修平を手で制した。
「なるほど。おっしゃることはわかります。今、この価格で地元の方に愛されているのだから、大きく値段を変えたくはない、ということですね」
「はい、あ、こんなことを先生に言うのも何ですが、いくら高級で味が良くなったからって、やっぱりお客さんにとって値段は大事ですし、私どもとしても気軽に買えるケーキを目指しているものですから」
幸田は修平のその発言をさも待っていたかのように、笑みを浮かべて答えた。
【次ページ】ペットボトルのお茶の価値とは
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