• 2010/09/22 掲載

【エキサイトレビュー インタビュー】コミュニケーションとしての雑誌をWebで模索する試み(2/3)

「エキサイトレビュー」プロデューサー 藤井麻男氏/編集者 アライユキコ氏インタビュー

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アフィリエイトの可能性

――今度の「エキサイトレビュー」と、かつての「エキサイトブックス」のつながりなどについて聞かせください。

 藤井氏■「エキサイトブックス」は私が直接担当していたわけではないのですが、PV(ページビュー)ではけっこう数字を出していました。記事を読んでくれている人はたくさんいましたし、エキサイトブックスの連載を書籍化したものがベストセラーになったり(『文学賞メッタ斬り!』シリーズ)と、人気のコンテンツだったんですね。とはいえ、あまり儲からず、当時はまだ今ほどアフィリエイトで儲かるんだ、ということも確立されていませんでした。「私たちのコンテンツが本になった!」レベルで喜んでいたのでそういう意味では「若かった」というか「ピュア」だったのかもしれません(笑)。

 アライ氏■最初は肩身の狭い思いをしていました(苦笑)。アフィリエイトの導入も、確か途中からだったかと思います。

――面白いものを作って見せているけど、そこで稼ぐにはどうしたらいいか?っていうのが大きな課題としてあったわけですね。

 藤井氏■始めて少し経ったところで、やはり「これ、どうやってお金にするんだ?」という問題が持ち上がってきて。

――ピュアじゃなくなってきた(笑)。

 アライ氏■ちょっと熱くなっちゃって、意見の対立もありました(笑)。

 藤井氏■だいぶあとになって、Amazonのアフィリエイトでけっこうな売り上げが出るようになったころには、もう「エキサイトブックス」のコンテンツ更新は止めていたんですね。もったいないことをしたと思っています。

――では、ビジネス・モデルとしては、今回もやはりアフィリエイトが軸になりそうなんでしょうか? それとも広告とか、別のものも入ってくるんでしょうか?

photo
藤井麻男氏
 藤井氏■ニュースの中の1ジャンルなので、ディスプレイ広告なんかは、一般的なサイトに比べると多少は高い単価で売れます。でも、それだけでペイするというのはやはり難しい。ですので、オンライン上で買えるものをどんどん紹介して、そこからアフィリエイト収入をあげられないかというのは1つのテーマとしてあります。あ、ちなみに、こないだレビューで紹介した『LIKTEN』なんかは、すでに100冊以上売れたんですよ。

――100冊はすごいですね!

 藤井氏■まだまだこれからではありますが、可能性は感じています。

――「エキサイトブックス」のときは、「本」というように扱う対象がある程度決まっていたと思うんですが、それが「レビュー」となると、当然その対象は広くなるわけですよね? そのへんは作る上でいかがですか?

 アライ氏■まあ「エキサイトブックス」のときも、「ブックス」と言いながらけっこういろいろなことやっていましたからねぇ(笑)。「ゲームの登場する小説」という切り口でTVゲームを紹介したりとか。今回は、それが逆になるみたいな感じでしょうかね。だから、むしろやりやすいです。「ブックス」のときって、まだテキストサイト・ブームが続いていた頃だったんで、読書サイトとかも盛り上がっていましたし、ライターさんもたくさんいて探しやすかった。私自身そういう方にお願いしたいというモチベーションがあった。今はちょっと状況的にも違ってきていると思います。「エキサイトレビュー」の中にもなぜかゾンビを専門としている書き手や、人気アニメ“プリキュア”シリーズを主に扱うライターがいるように(笑)、より細かくなってきているという実感があります。だから、そういう意味でも、レビューの方が「今」に合っているのかなって。

――「エキサイトブックス」のときからあった雑多な、バラエティに富んだ部分っていうのがより膨らんで、むしろやりやすくなったということですね。ちなみに、今お話に出たゾンビ、プリキュア以外にも、ガリガリくん、電子書籍など、実に多種多様なものが取り上げられていますが、個々のテーマはどうやって決めているんですが?

 アライ氏■Skypeチャットを利用しています。プロデューサーの藤井さんも含め、書き手のみんなに入ってもらって、「このネタで書きたい」というのがあったらどんどん出してもらってます。で、私が「書いてください」って返信する。あるいは、自分ではやらないけど面白いのでは?というネタがある場合には、「誰かやりませんか?」って投げてみたり。あとはもうそこで雑談をしているうちにネタが出てきたり、情報が入ってきたりするわけです。最初は単に連絡用だったんですけど、意外と打ち合せに使えるなって気付いて。「これがウケた」みたいな反応も共有できるんで、「あれがウケたならこれは?」みたいな感じに広がっていく。ようするに、Skypeで会議をしている感じですね。あるいは昔、出版社の編集部にいたんですけど、その頃は机に座って、新人のライターさんが持ってくる原稿を端から読んでいくみたいなことをしてまして、それが今、Skypeでできているっていうのが面白いですね。

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