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- 2009/02/13 掲載
SaaS/ASP市場の現状と今後(5)不況期のSaaS/ASP(2/2)
および腰のITベンダーはつけ込まれる可能性
しかし、こうした状況は、SaaS/ASP(Cloud Computing)に集中して、資本と戦力を投下しているITベンダーに、非常に優位な立場になれる可能性を作り出している。ユーザー企業は、中小企業、中堅企業、大企業などいくつかにセグメント化できるが、それぞれのセグメントには、これまでのNo.1、覇者たるITベンダーが存在している。それに対して、No.2以下のベンダーは、SaaS/ASPによって、小さく言えば一矢を報いることができ、大きく言うと根底から状況を覆して逆転することもできる。Top10よりも下位のベンダーが一番手、二番手になったり、新規参入のベンチャー企業がTop10入りする、No.1ベンダーが絶大なる力を持ち更にその地位を堅固なものにする、などの事象が起こり得る。
つまり、「SaaS/ASPが儲からない」からといって、躊躇していてはいけない状況にあるのだ。躊躇することによって、結果的に競合他社につけ込まれる隙を作ってしまうことになる。確かに、財務システムを3,000万円で構築していた中堅企業、その企業に3,000万円で一括納入していたSIerにとって、月々30万円程度のSaaS/ASPのライセンス料では、とても販売する気にはなれないだろう。ハードウェアのビジネスも、カスタマイズのビジネスも、これまで自分たちが持っていた事業経験を失うように感じるだろう。
しかし、それが競合他社の顧客だったらどうだろうか? ユーザーの導入コストや管理コストを大幅に軽減でき、かつ使いやすくなるバージョンアップが適宜行われているとすれば、今まで自社と取引のなかったエンドユーザー企業でも、その提案は魅力あるものに映るのではないだろうか。
SaaS/ASPは大きなパラダイムシフトの可能性を持つ
守りの戦略を選べるのは、それぞれの競合世界におけるNo.1のITベンダーだけである。それ以外の企業は、常に隙間を狙って攻め続けなければならない。SaaS/ASPは、従来のITマーケットに大きな亀裂を生じさせ、大きなパラダイムシフトをもたらす可能性がある。SaaS/ASPは普及しないと切り捨ててしまうのは簡単だが、数年後に恐ろしい結果が待っている可能性もある。2009年は、SaaS/ASPベンダーのM&Aも活発化することも予想される。SaaS/ASPの技術力はあっても、販売力やマーケティング力がない新興企業に、販売力やマーケティング力のあるITベンダーから資金供給が行われるのではないだろうか。
イーシーリサーチ ITコンサルティンググループ IT業界で10年以上の経験を持つアナリストグループ。サーバー、ソフトウェア、ネットワーク、データセンターなどのビジネス分野、および携帯電話、パソコンなどのコンシューマ分野の双方において、ベンダー競合状況、ブランド価値、ユーザー動向、マーケット動向などについて幅広く調査を実施している。コンサルティング分野としては、IT製品・サービスを中心として、個別企業の新製品の受容性コンサルティングや、営業戦略の立案を主に手がけており、現在は、日本市場向けの新しいSaaS営業手法を提案している。今回のSaaS市場戦略レポートは、日本でのSaaS事業立ち上げのためのコンサルティング基礎資料として作成している。 |
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