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  • 2024/12/26 掲載

AIエージェントの事例5選、ウォルマート、NEC、NTTデータの“面白い活用法”を解説

連載:デジタル産業構造論

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ここ数年、生成AI・AIの活用に取り組む企業が急速に増えており、成功事例も数多く出てきている。そうした中、現時点の生成AI・AI活用の成熟度として最も進んだレベルにある活用方法が「AIエージェント」と呼ばれるものだ。AIエージェントとは、与えた目標を達成するために自律的に考え、目的達成手段を自己決定しながら動作するAIプログラムのことだ。本記事では、実際にAIエージェントでどのようなことができるのかを整理しつつ、博報堂テクノロジーズ、パナソニック コネクト、NTTデータ、NEC、ウォルマートなど5社が開発・活用したAIエージェントの事例を解説していきたい。
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AIエージェントの事例5選をまとめて解説する
(Photo/Shutterstock.com)

AIエージェントとは

 AIエージェントとは、人間が与えた目標を達成するために、自律的に外部ツールを選択・使用しながら動作するAIプログラムを指す。

 たとえば、近年、企業の問い合わせページに導入されはじめているAIエージェントが代表的な例に挙げられるだろう。問い合わせページに導入されるAIエージェントは、顧客との会話の中から顧客の抱える課題を特定し、それに合った商品提案を行い、会話のやり取りの記録を残してくれるなど、一連の問い合わせ業務のプロセスを自律的に完結してくれる。

 これは、顧客の質問に対して“自然に回答する”という限定的な役割を担う「AIチャットボット」とは違う点だ。こうした“自律性”こそが、AIエージェントの特徴と言える。

 このように、近年AIを使って自動化できるようになった業務の流れを、自律的に作動するプログラムに置き換える(≒AIエージェント化)ことで、効率化を図る取り組みが出てきているのだ。

OpenAIが提唱する「AIの5段階進化モデル」とは

 OpenAIが提唱する「AIの5段階進化モデル」がある(下図)。この中で、AIエージェントは第3段階に位置付けられている。

段階 詳細
1:Chatbots 自然な会話・言語能力をもつAI
2:Reasoners 博士号レベルの教育を受けた人のように高度な問題解決ができるAI
3:Agents 独立または指示に基づいて行動をとることができるAI
4:Innovators 新しいアイデアを発明し、人類の知識に貢献できるAI
5:Organizations 組織全体の業務を独立して実施できるAI
OpenAIのAI進化5段階モデル
(出典:筆者作成)

 現時点におけるAI活用は、2段階目に差し掛かったと言われている。そして次の姿として、AI活用の在り方は「独立した行動、または指示に基づいて行動する段階」を目指すことになるが、これがまさにAIエージェントのコンセプトと言えるのだ。

 ここからは、そんなAIエージェントが、具体的にどのような活用方法で広がっていくのかを解説していきたい。

活用例(1):所属する部署・部門の仕事を助けてくれる

 今後、AIエージェントが、各部門の持つデータを学習したり、RAGによって参照することで、自律的に業務を支援してくれる存在になるかもしれない。

 たとえば、経理・法務部門の業務であれば、会計システムの財務データ、会計・法律知識や、過去の事象に対する対応結果などを学習したりRAGによって参照しながら、目標の達成に向けて自律的に判断しながらタスクを処理してくれるようになるかもしれない。他方、経営企画であれば、競合他社の財務データやIRデータ、財務データ・経営データ、過去の戦略意思決定とその結果などが対象データになるだろう。

 このように、各部門の中にそれぞれAIエージェントが存在するような状況が出てくる可能性がある。そして段階的にはなるが、これらの個別業務ごとのエージェントを管理したり、それぞれの連携を支援する全体管理や監視するAIエージェントも中長期的には生まれてくる可能性があるだろう。

画像
部門ごとに導入されるAIエージェントのイメージ
(出典:筆者作成)

活用例(2):ERP・PLMなど…各システムの司令塔になる

 今後、企業が利用しているシステムの情報を学習したAIエージェントが登場し、効率化を進める形になっていくかもしれない。たとえば、すでにSAPが提供するERPにAIエージェントが搭載されているが、このように、あらゆる業務システムにAIエージェントが搭載されていく可能性がある。

 そして、今までシステムごとに細分化・分断される傾向にあったデータを、システム間の連携・統合を進めてくれることに加えて、データフォーマットの変換なども行ってくれるAIエージェントが登場してくるはずだ。

 そして、部門ごとに存在するAIエージェントと、システム単位に存在するAIエージェントの双方を組み合わせ、業務を効率化・組み換えをしていくような働き方が未来の姿となる。

画像
システムごとのAIエージェント例
(出典:筆者作成)

 ここからは、実際に存在するAIエージェントの事例を紹介していきたい。

企業事例(1):博報堂テクノロジーズの「ブレストAI」

 AIエージェントの1つの方向性として、異なる役割を与えた「人格(AI格)」を複数用意し、それら複数の視点から1つのテーマを議論・検討をさせるという活用が考えられる。

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【次ページ】企業事例(2):パナソニック コネクトの「個人特化AI」
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