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- 2024/12/03 掲載
AIエージェントとは何かをやさしく解説、安野貴博氏が語るChatGPTとの違いやメリット
「AIエージェント」とは何か
AIエージェントとは、人が設定した目標に対して、必要なデータを収集し、そのデータに基づいて自己決定タスクを決定しながら目標を達成するためのプログラムのこと。目標は人間が決めるが、その目標を達成するために必要なアクションはAIエージェントが自律的に選択する。安野氏によると「AIエージェントは、ChatGPTのような会話型AIからさらに進化した次のステップに位置しており、AIに質問をして答えをもらうという従来のAIの使い方に加えて、自律的に実際の行動を起こすことができる」点に特徴があるという。ChatGPTのような会話では必要な情報を得られても、アクションは伴わない。一方、AIエージェントの多くは実行を伴う。
「たとえば、私が『明日、札幌行きの飛行機を予約してほしい』とお願いすると、AIエージェントはWebブラウザで飛行機の予約を検索し、予算内で適切な便を選んで『こちらでどうですか?』と確認してくれます。ここでOKを出すと、実際に予約まで進めてくれるのです」(安野氏)
■AIエージェントと生成AIの違い
AIエージェントと生成AIは似ているが、AIの目的や運用方法、作業内容などに相違点がある。それぞれの違いは、下図のとおり。
この図のとおり、業務の自動化を得意とするAIエージェントは、一連の仕事の流れを任せたい場合に適している。一方の生成AIは、コンテンツ生成を目的とするため、テキスト生成や画像生成などと相性がいい。
安野氏は両者の違いとして「自律性」を挙げ「今のChatGPTのようなAIは、人間が何かを尋ねて初めて返答する仕組みになっています。しかし、自律性を持つAIエージェントは、そのアクションのトリガーが人間のリクエストだけではなく、AI自身が『これを今やるべきだ』と判断して動き出すようになります。たとえば、AIエージェントが「明日の予定を決めたほうが良いのではないですか?」と時間に応じて提案してくれるような動きです」と話す。
さらに、「現在の生成AIが情報を引き出すためのツールという性質が強いのに対して、AIエージェントの場合は、生成AIを窓口としながら、その先はAIエージェント同士が協力しながら、複雑なタスクも効率的にこなすことも可能」だという。
AIエージェントの特徴
具体的にAIエージェントの特徴について見ていこう。■ローコード・ノーコードで構築も簡単
Newo.aiが注力しているのが、ローコード・ノーコードによるAIエージェント構築の仕組みだ。
AIエージェントを構築できるツール/サービスには、Newo.ai以外にもOpenAI AssistantsやLangChain、Sierraなどがある。しかし、これらは特定のタスクに特化しているが、AIエージェントを作成するのに数カ月のコーディング期間が必要で、制限や導入障壁が存在する点が課題となっている。
Newo.aiのプラットフォームであれば、「スキル」と呼ばれる業務機能の最小単位があらかじめ用意されており、それらを組み合わせるだけで簡単にユーザーはAI社員を作成できる。たとえば、電話対応やチャット、Eメール送信などを1つの「フロー」として定義し、AI社員に割り当てるといったことが可能だ。
Newo.aiでは、インテグレーションにも力を入れている。
APIを介して社内の各種システムとAI社員を連携させられるほか、「マジックインテグレーション」機能を用いれば、APIを提供していないサービスとの連携も可能だ。これにより、AI社員はWebサイト上でのスクロールやクリックという動作を実行しながら、予約の取得やキャンセル処理なども自動で行えるようになる。
Newo.aiは、こうした特徴のおかげで他社よりも10倍高速でAI社員を構築できるという。
AIエージェントの主な種類
AIエージェントには、それぞれのタスクや環境に最適化されたいくつかの種類がある。ここでは、次の4つの種類を解説しよう。- 反射エージェント
- 目標ベースエージェント
- 効用ベースエージェント
- 学習エージェント
■反射エージェント
反射エージェントには、「単純反射エージェント」と「モデルベース反射エージェント」の2種類がある。
単純反射エージェントとは、最もシンプルな仕組みのAIエージェントだ。事前に定義された条件と行動のルールに基づいて動作するAIエージェントで、自動応答チャットボットやスマートロックなどをイメージするとわかりやすいだろう。
一方のモデルベース反射エージェントは、内部に環境のモデルを保持し、それに基づいた意思決定を行うのが特徴だ。単純反射エージェントと比べて、より高度なアプローチが可能で、自動運転車の技術開発やレコメンデーションシステムなどに利用されている。
自動運転においては、車の速度とブレーキ能力に基づき、ブレーキをいつかけるべきかという情報に基づいて判断を下す流れだ。
■目標ベースエージェント
目標ベースエージェントでは、特定の目標を達成するために予測と推理を行い、最適な行動を選択してくれる。現在の行動から導かれる将来的な結果に基づいて意思決定を行うため、より柔軟なアプローチを持っている点が特徴だ。目標ベースエージェントは、倉庫内で最適なルートを選択するシステムなどに活用されている。
■効用ベースエージェント
効用ベースエージェントでは、単に目標を達成するだけでなく、その行動の「効用(望ましさ)」を最大化するための行動を選択してくれる。複数の選択肢から、最も満足度が高いものを選択できる点が特徴で、金融市場での売買を行うトレーディングボットが代表例だ。収益最大化を追求しつつ、リスクも考慮しながら最適な投資判断を下してくれる。
■学習エージェント
学習エージェントは、経験から学んで自己改善をすることで、時間の経過とともにパフォーマンスを向上させられるAIエージェントだ。与えられたタスクを繰り返しこなす中で、徐々に最適な行動戦略を身につけていくのが特徴だ。対戦型ゲームのAIプレイヤーなどのシステムに利用されている。
AIエージェントが活用されるサービスの事例
AIエージェントが活用されるサービスの事例には、次のようなものがある。- カスタマーサービス:
チャットボットによる顧客対応 - 人事サポート:
福利厚生や会社方針など社員からの質問に答える - マーケティング支援:
リアルタイムの情報や顧客の過去行動や購入履歴をもとに、新製品の提案を行う - 自動運転サポート:
他の車両や歩行者の動向解析などをしつつ、安全かつ効率的な運転を支援 - 生産ラインの最適化:
生産ラインの最適化や予防保守を実現し、機械の故障や生産停止のリスク減少に貢献
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