- 会員限定
- 2024/04/30 掲載
「アンパンマン」が安定収益すぎる理由、ハローキティに並ぶ最強キャラの壮絶誕生秘話
連載:キャラクター経済圏~永続するコンテンツはどう誕生するのか(第22回)
“ある市場”のシェアは圧倒的? アンパンマンの実力
子供向けキャラクターとして絶大な人気を誇る『それゆけ!アンパンマン』の実力は、あらゆる調査データを見ると明らかだ。また、商品所有度は27.2%で5位(「ミッキーマウス」「リラックマ」「ハローキティ」などに続き日本5位)、「玩具」キャラクターカテゴリーで見ると、「鬼滅の刃」「ポケモン」をおさえての堂々1位となっている。
何よりすごいのは、幼少年齢における寡占率だ。0~2歳では男児47%/女児49%、3~4歳は男児13%(2位)/女児14%(1位)となっている。「ミッキーマウス」「トーマス」「ハローキティ」などを大きく抑え、「3歳までは誰もが必ずアンパンマン」という不動の市場を作り上げているのだ。
乳幼児向けキャラクターでここまで高いシェアを誇るキャラというのは他国でもあまり類例がない。しかもそのポジションは30年にわたって絶対的なものである。
アンパンマンの初登場は1968年だが、単体絵本作品として登場したのは1973年。さらに1970年代後半のミュージカルを通じて普及し、「国民的キャラ」となったのは1988年の日本テレビでのアニメ化以降の話だ。1996年アンパンマンミュージアム1館目(高知県)設立も含め、実はこうして幼少期向け市場のシェアを伸ばしはじめたのは1990年代と、意外にも最近のことなのだ。
作者・やなせたかし氏は当時すでに70歳超え、完全なる遅咲きであった。彼自身が子供時代に迷子になり、お金がなく空腹で苦しんでいたときに友達と友達の母と偶然出会い、電車で帰っていた道すがら与えられたアンパンが死ぬほどおいしかった。今回、やなせたかし氏の著書『アンパンマンの遺書』(岩波現代文庫)の内容などをもとに、そうした作者の「アンパンに助けられた原体験」と自殺未遂、両親・弟との離別、戦時の飢餓状態など、壮絶な人生の中から生まれたこのヒーローについて分析する。 【次ページ】作者・やなせたかし氏の壮絶な人生
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR