0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
AIスキルを求める求人は長らく存在するが、ChatGPTが登場して以来、AI求人数が急増している。企業によるAI導入の動きが加速しているためだ。しかし、AI人材は慢性的な不足状態。ネットフリックスではAI人材を囲い込むため、90万ドルという高額報酬を提示しているという。生成AIの登場によって急変するAI人材市場、それに伴う諸問題を追ってみたい。
AI人材コストがさらに高騰、ネットフリックスの事例
長らく続くAI人材不足に加え、生成AIトレンドをきっかけとするAI需要の高まりなどにより、AI人材コストのインフレが加速しつつある。
以下の動画ではこの記事をAIで1分にまとめて配信しています
これはいくつかのメディアが指摘したことで、米国で注目されるトピックとなっている。
たとえば
Techcrunchは7月28日、ネットフリックスで掲載されている「
AIプロダクトマネージャー」の求人広告において、年収が最大で90万ドルに上ることに触れ、メディア業界における賃金格差を拡大するものであると報じている。
ネットフリックスの求人広告を見てみると、ほかにもさまざまなAI関連求人で同等の報酬が提示されており、例外的な事例ではないことが分かる。
メンバーサティスファクション・マシンラーニング領域における
エンジニアリング・マネージャーの年収レンジは、44万9,000~84万2,000ドル、マシンラーニングと推論研究分野における
リサーチサイエンティスト(L6)では39万~90万ドル、AI/マシンラーニングのR&D部門における
テクニカルディレクターでは45万~65万ドルというレンジだ(※一部のリンク先はすでに無効になっているが証跡として残している)。
年収1.3億円のAIプロダクトマネージャーの役割とは?
最大年収が90万ドルに上るAIプロダクトマネージャーには以下の役割が与えられる。
1つは、エンジニアリング部門と連携して、マシンラーニング・プラットフォーム(MLP)の戦略的ビジョン、目標、主要成果指標、成功メトリックを定義すること。
また、ネットフリックス全体のマシンラーニング/AI専門家やアプリケーションエンジニアからのフィードバックを収集して、プロダクト要件を洗い出し、重要度を評価して、優先する投資領域を明確化すること。
さらには、アイデア出しから本格ローンチ、サポートまでのライフサイクル全フェーズで、プロダクトの成功を確保すること。そして、マシンラーニング・プラットフォームのユーザー向け教育とサポートプログラムを立ち上げなどが含まれる。
ここで言及されているマシンラーニング・プラットフォームとは、ネットフリックスのマシンラーニング/AI専門家が機械学習モデルの開発・展開・改善を簡単に行えるようにするプラットフォームのことを指す。
ネットフリックスは数年前にゲーム市場にも参入を果たしているが、上記AI/マシンラーニングのR&D部門におけるテクニカルディレクターの要件を見ると、本業の動画配信だけでなく、ゲーム領域でもAIを活用しようとしていることがうかがえる。
現在ネットフリックス・ゲームスタジオでは、これまで開発するのが不可能だったゲームをマシンラーニング/AI技術を活用し開発することを目指しており、そのためのR&Dチームを育成しているという。このR&Dチームでは、これまでにないゲームデザインやアーキテクチャを模索しており、テクニカルディレクターはこの取り組みで中心的な役割を担う。職務内容には、ゲーム技術の戦略立案、開発、プロトタイピングが含まれる。
【次ページ】米国における慢性的なAI人材不足
関連タグ