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生成AIの登場で、企業のAI支出がさらに拡大する見込みだ。米国大手企業では軒並みAI予算が拡大傾向であることが判明。一部では、クラウドコンピューティングよりも優先度が高い項目となっているという。また、アジア地域では北米よりもAI予算の拡大が顕著で、さらにAI人材のグローバルハブとして台頭しているインドでも国内企業によるAI支出・投資が増加した。各地域のAI支出動向を探ってみたい。
AIサービスへの支出増加が加速
もともと高い増加率が予想されていた企業によるAI支出だが、生成AIの登場によって、さらに加速する公算が高まっている。
2022年2月時点におけるIDCの
レポートでは、世界のAI支出は同年に前年比で19.6%増加し4,328億ドル(4.7兆円)に拡大、また2023年には5,000億ドル(約72兆円)に達するとの予想が展開されていた。
同レポートが発表された時点では、AI支出のうち、AIソフトウェアが88.3%と大部分を占める状況だったが、AIハードウェアとAIサービスへの支出が拡大しつつあり、AIソフトウェアのシェアは若干下がったことが報告されている。
AIソフトウェアへの支出のうち、約半分がアプリケーション、35%がシステムインフラソフトウェアに費やされていた。
AIソフトウェアの中で支出増加率が最も高いのは、AIプラットフォームで、年平均成長率は34.6%に達するという。成長率が最も低かったのは、14%のシステムインフラソフトウェアだった。
IDCによると、AI支出の中で今後成長率が最も高くなると予想されるのがAIサービスだ。年平均成長率は22%となり、これにAIハードウェアが20.5%で続く
見込みという。
IDCによると、「
AIサービス」の主要ベンダーには、アクセンチュア、デロイト、KPMG、PwCのほか、Wipro、タタ・コンサルタンシー・サービシズ、Infosysなどインド大手企業が多数含まれる。
米企業のAI支出動向、テック予算は縮小もAI支出は増加
また、2023年5~6月に実施された「
CNBCテクノロジーエグゼクティブ評議会」の調査で、米国企業における最新のAI支出動向が明らかになった。
この評議会は、アクセンチュア、アドビ、イーライリリー、アーンスト・アンド・ヤング、ウォルマート、IBM、PwC、SAP、Zoomなどの米大手企業のCIO、CTO、CDO、その他のテクノロジーリーダーが参加するもので、同調査は米大手企業のテクノロジー関連動向を反映するものとなっている。調査時期は、2023年5月15日から6月20日まで。
調査では、米大手企業では金利上昇などの影響からテクノロジー支出が全体的に縮小傾向にあるが、AI支出は今後1年間で加速する見込みであることが明らかになった。
テクノロジー支出が全体的に減少しているとの回答が53%であった一方、今後12カ月でAI支出を増加するとの回答は63%に上った。一方で残りの37%は、AI支出に関しては慎重に進めると回答。今回の調査には、約100人の米大手企業のテクノロジーリーダーが参加したが、AIへの投資・支出を行っていないとの回答はゼロで、少なくとも同評議会に参加するすべての企業がAIに関して何らかの取り組みを行っていることが判明した。
以下の動画ではこの記事の一部をAIで生成して配信しています
さらに約半数の企業(47%)が、今後1年のテクノロジー支出における最優先事項としてAIを挙げている。またAI予算は、テクノロジー支出における2番目に大きな支出項目となるクラウドコンピューティングの2倍以上であることも分かった。
具体的にこれらの米大手企業において、どのような形でAIが活用されているのかも報告されている。
イーライリリーでは、すでに患者のセーフティレポートやクリニカルナラティブの作成で生成AIを活用、今後は創薬分野でも生成AIを導入する計画であるという。
また通信大手MetTelでは、AI機能をカスタマーサポートセンターに組み込み、受信したクライアントのメールを読解・解釈し、それに基づいて対応する仕組みを構築。これにより、インシデント関連タスクが大幅に減少し、約380時間相当の節約につながった。
このほか、生成AIを使って、ジョブディスクリプションからバイアスを除外したり、マーケティングにおける画像生成、ソーシャルメディア管理、ITチケット管理などの取り組みが進められている。
米大手企業におけるAI活用例
- 創薬・患者のセーフティレポート作成
- カスタマーサポートセンターへの組み込み
- ジョブディスクリプションからのバイアス除外
- マーケティングにおける画像生成
- ソーシャルメディア管理
- ITチケット管理
【次ページ】アジア太平洋、北米よりAI支出が活発化
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