TIプランニング代表取締役 池谷 貴
編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。
アップルは、新端末の「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」、およびアップル初のウェアラブルデバイス「Apple Watch」において、近距離無線通信技術のNFCを使ったモバイル決済の新サービス「Apple Pay」を発表した。スマートフォンによるNFC対応はグーグルのAndroidが先行しているが、実際は期待通りの普及が進んでいないと言われる。今回のアップルの動きにより、同市場は盛り上がりを見せるのか? また、iPhone 6のNFC機能では「Suica」「WAON」「nanaco」「楽天Edy」といった日本の主要サービスは利用できないが、これら「おサイフケータイ」の行方はどうなるのか?それぞれ冷静に分析したい。
スマートフォンを通じたさまざまな決済技術が生まれるのに伴って、これまでインターネット決済で主導的な役割を担ってきたクレジットカード業界も危機意識を高めている。ネット通販をはじめ、インターネットでの決済市場は毎年10%以上の成長があると言われているが、ネットでのクレジットカード決済はカードを提示しない非対面取引「CNP(Card Not Present:カードを加盟店に提示しない支払い)」が基本となる。そのため、国内外で“なりすまし”による不正取引も増加している。こうした不正利用に対応するべく、ジャパンネット銀行の発行する「JNB Visaデビット」では、国内で初めて「ワンタイムパスワード」による「3-Dセキュア」の認証方式を導入する。なぜクレジットカードのセキュリティ対策が問題になっているのか、3-Dセキュアとは何か、ワンタイムパスワードとの関係についても解説する。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット、レンタルビデオ、ドラッグストアなど、大手流通企業の多くがポイントサービスを導入している。その渦中にいるのが、「Tポイント」運営のTポイント・ジャパンと「Ponta」運営のロイヤリティマーケティング、今秋から「Rポイントサービス」を開始する楽天だ。これらの企業は現在、大手流通店舗やネット企業の陣取り合戦を行っているが、いち早く中小店舗への導入をスタートしたのが「Tポイント」だ。Tポイント・ジャパンでは、顧客固定化のツールとして、Tポイントの個店への導入を目指しているという。祖師谷みなみ商店街、祖師谷商店街、祖師谷昇進会商店街の3つの商店街からなる「ウルトラマン商店街」はなぜTポイントを採用したのか。その狙いを追った。
KDDIの経済圏がついにモバイルの世界を飛び出した。大々的にテレビCMで告知しているのでご存じの方もいるかもしれないが、同社は本日、2014年5月21日から電子マネー「au WALLET(ウォレット)」を開始する。世界約3810万のMasterCard加盟店、国内約2000社のWebMoney加盟店の双方で利用でき、ポイントも貯まるのが特徴だ。ネットとリアルを融合させ、「流通規模1兆円を目指す」(KDDI 田中社長)という。一方、インターネットのポイントで圧倒的な強みを持つ楽天では、「楽天スーパーポイント」のリアル展開を今秋開始し、リクルートホールディングスは「Ponta」運営のロイヤリティマーケティングと提携した。ID・ポイントサービスの世界は、ネットとリアル入り乱れた“異業種格闘戦”の様相を呈してきた。
米国のISISやGoogle Walletなどを見ても、スマートフォンを活用したモバイル決済は期待通りに普及が進んでいない。また、2013年は国内外を問わず、クレジットカード情報の漏えい事件が相次いだ。こうした状況に電子決済業界も手をこまねいているわけではない。2013年10月、グーグルは最新のAndoridで、NFC(Near Field Communication)の新技術として、クレジットカード情報をクラウド内に格納する「Host Card Emulation(HCE)」を採用した。また、2月末に開催された「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2014」の開催に合わせ、Visa、MasterCardはHCEに対応したリリースを発表。また、3月20日には、NFCの普及団体であるNFCフォーラムも3月20日にHCEに対する声明を発表している。こうした決済の安全化への取り組みはほかにも、カード情報のトークン化、指紋認証による決済など相次いでおり、決済ビジネスは新たな段階に突入している。