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Wagby活用で機能の90%を自動生成、内製開発が様変わりすることも
次に、ジャスミンソフト 代表取締役の贄(にえ) 良則氏が登壇。超高速開発がなぜ今、注目されているか、システム開発の今後について語った。贄氏は、2006年に超高速開発ツール「Wagby」を開発、累積導入企業数は2017年10月現在で336社を数える。
超高速開発について、贄氏は「要件定義と設計がまとまっている」点を特徴に挙げた。
「要件定義をしながら、Wagbyに要件をエントリーすると、その場で動くアプリケーションが完成します。これはいわゆるプロトタイプではなく、本番運用に耐えうるクオリティのものです」(贄氏)
実際に動くものが目の前で、仕様を固めていく。
「どんなに紙で精緻な仕様書を固めても、実際に作ったシステムに対して、データが足りない、画面が足りない、帳票が足りないなどのダメ出しがなくなることはない」と贄氏。つまり、作る前から仕様をすべて洗い出すのは不可能で、「作ってから仕様を洗い出す」ことに転換したのが超高速開発のコンセプトだ。
贄氏によれば、「機能の90%は自動生成可能」とのことで、「残りの10%を開発、テストするという開発プロセスは、顧客側も一度体験すると元には戻れない」そうだ。
これまでも、ライブラリ化やクラスによる部品化、テスト自動化、実行基盤作成の自動化など、開発における自動化は進んできたが、「プログラミングだけは人力に頼っていた」と贄氏。そこで、業務アプリケーションを作り続けてきた経験から「データ構造とアルゴリズム」に着目。これらを「設計情報(リポジトリ)」として変換することで、プログラミングを自動化している。
さらに、「自動生成で不足する部分をカスタマイズで開発する」プロセスでも、カスタマイズ結果を自動生成エンジンにフィードバック。いわば自動生成エンジンを開発者が「鍛えていく」ことで、次回のプロジェクトにおける自動化率が高まる効果も期待できる。
贄氏は、開発プロジェクトを「労働集約型から自動化を主体にし、人月工数ビジネスを確実に終わらせること」をゴールに定める。自動化が主体になれば、顧客企業側にも「内製シフト」が起きる。つまり、SIerの役割は、ユーザーの内製開発に寄り添うことになるのだ。
贄氏は「SIの高付加価値化のためには、こうした超高速開発ツールを活用するのが必須要件化していくだろう」と述べ、セッションを終えた。
続いて登壇したNTTアドバンステクノロジ(以下、NTT AT) グローバル事業本部 グローバル営業部門 担当課長の藤崎 美奈子氏は、「働き方改革の実現には、労働時間の短縮と労働生産性の向上が課題だ」と述べた。
RPAは、ホワイトカラー業務を自動化するソフトウェアロボットだ。「2015年頃にヨーロッパで注目され、2016年には北米でブーム。2017年、日本でもRPAブームが到来している」と藤崎氏。そして、NTT ATが開発したクライアントPC型のRPAツールが「WinActor」だ。
これはWindows上で動くソフトウェアロボットで「録画ボタンを押して、人間がパソコンを使った作業をすると、録画内容から操作内容をソフトが覚え、自動実行を可能にする」ものだ。
自動化率としては、「ある受発注システムの自動化では、Excelの入力作業を95%削減した事例や、経営管理部門に導入し、基幹システムの売上管理データから報告書を作成するプロセスを自動化。報告書作成業務を98%削減したケースなどがある」という。さらにマシンが業務を行うことでヒューマンエラーが防げる効果もある。
今後は「クライアント型からサーバー型のWinActorを開発し、サーバーOSにも対応していく」と藤崎氏。大規模ユーザーを想定したセキュリティ機能の強化などで、「お客さまのニーズに応えていきたい」と締めくくった。
再び登壇した清水氏は、AIの動向や、AIと連携したソリューションについて紹介した。
AIを連携させた具体的なソリューションは「AI Read」だ。これは、OCRエンジンにAIを活用し、今まで読めなかった文字の可読率を高めるもの。「これまで既存のOCRソフトでは諦めていた、手書き文字の読み取り精度の向上、レイアウトの異なる帳票からのデータ抽出を、AIを活用することで可能になる」と清水氏。
前述した「Wagby」で開発することで「お客さまの帳票や出力ファイルに合わせたカスタマイズが可能で、早期に利便性の高い機能の提供が可能になる」とのこと。そして、「WinActor」と組み合わせ、入力業務の自動化も実現可能だ。
最後に、今後のロードマップとして、Microsoft Azureと連携し、来春をメドに、WinActor、Wagby、AI Readを活用し、新たなソリューションを提供していく計画があることが紹介された。WinActor、Wagby、AI Readについては「東南アジアをメインに、グローバル展開を進めていきたい」と清水氏は抱負を述べ、セッションを締めくくった。
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