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- 2022/11/09 掲載
なぜ、元王者かっぱ寿司は「スシロー・くら寿司・はま寿司」に大差を付けられたか?
【連載】流通戦国時代を読み解く
かっぱ寿司の転落はいつから? 各社の売上比較
図表1、2は、かっぱ寿司、スシロー、くら寿司の2005年からの売上と営業利益の推移について比較したものである(スシローは2009年に非上場化し、2017年に再上場した経緯があるため、データが不足している部分がある。はま寿司は、ゼンショ―のグループ企業であり、非上場であることから比較には入れていない)。スシローの非上場化やかっぱ寿司の決算期変更などあって、正確には見にくいかもしれないが、ざっくり言えば、2000年代業界トップだったかっぱ寿司は、2010年代にはスシロー、くら寿司に相次いで抜き去られ、それ以降は差が開く一方だったことが分かる。
営業利益についても同様で、2000年代は競い合うような水準だったが、2010年代以降もスシロー、くら寿司が拡大していくのに対して、かっぱ寿司は2014年に赤字化して以降、ほとんど利益が出せない会社になってしまった。その要因は2005年の財務データからも窺い知ることができる。
かっぱ寿司に“おいしくない”が定着してしまった理由
図表3、4から、2005年あたりの各社の原価率、売上高販管費率の推移を見ると、スシロー、くら寿司に比べて、かっぱ寿司の原価率は低く販管費率は高い。これは、後にかっぱ寿司を追い抜く2社がオペレーションコストの低減を実現しているため、かっぱ寿司より材料費にお金を掛けることが出来たことを示している。提供する商品の品質を上げることで消費者においしさをアピールし続けたスシローやくら寿司に対して、かっぱ寿司は高コスト体質から原価にお金を回すことが出来なかったのだ。
このような差を消費者は敏感に感じ取るため、かっぱ寿司には「店はたくさんあるけどおいしくない」というイメージが出来てしまい、毀損してしまった「かっぱブランド」は、その後、長らくその払拭に苦しむことになった。
【次ページ】FLR分析から分かる、儲かる回転ずしチェーンの条件
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