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- 2022/09/27 掲載
始まった「ショッピングモール消滅」のカウントダウン、挽回企業は何をした?
成功事例に学ぶ、モール生き残りのカギ
「存続ライン」を超えてしまった空き店舗率
中国のショッピングモールが極めて厳しい状況に追い込まれている。フロスト&サリバン中国が公表した2021年の全国のモール空き店舗率は、21.7%という厳しいものだった。一般に、空き店舗率5%は「警戒ライン」、20%は「存続ライン」と呼ばれている。中国の調査会社である贏商データ(WIN DATA)が公開している、12重点都市(4大都市を除いた大都市)にある売り場面積5万平方メートル以上のモールの2022年上半期の空き店舗率も13.4%となり、非常に厳しい状態が続いている。
賛否両論起きた、著名な経済評論家の「モール消滅」論
この状況を見て、中国の著名な経済評論家、呉暁波氏が2020年末に行った年越し講演が再び話題になっている。50人の経済専門家にアンケート調査を行い、コロナ禍が終息した(と思われた)この時期、2021年の経済について8つの予測を行った。その1つが「ショッピングモールは消滅する」というものだった。この予言が現実のものになりかねない状態になっている。呉暁波氏は、モールについてこのような予測をした。
「彼ら(=ショッピングモール)は皆死ぬ。新型コロナがあろうとなかろうと、ショッピングモールは消滅する。転換点がきている。サービス消費(体験消費)が全面的に物質消費に取って代わる」
いわゆる「モノ消費からコト消費への転換」のことだが、「消滅」という強い言葉を使ったため、聴衆やネット上で賛否両論の議論が起きた。
呉暁波氏のこの予測には裏付けがあった。呉暁波氏は著書を執筆する中で、中国国内の20代と30代、10万人にアンケート調査を行っている。この若い世代に、「外出をする理由」を複数回答してもらった。
すると上位にくるのは「外食」「人との面会」「映画」「運動」などで、その下に「SNS撮影」がくる。これはSNSで話題になった場所に行ったり、話題のスイーツを食べに行ったりして、自分も写真を撮り、SNSにあげて楽しむというもの。そして、その下にようやく「買い物」が登場する。
若者たちにとって、今や買い物とはそれぐらいの比重でしかなく、買い物はECで楽しむものか、別の理由で出掛けた時についでにする行動になっている。10年もしないうちに、この世代が消費の中心となる。その時には「買い物に出掛ける」という言葉は死語になる。だから、ショッピングモールは存続していけないというのが呉暁波氏の主張だ。
背景にある要因はいくつもあり、複合的にモールの生存空間を縮小させている。
【次ページ】ショッピングモールを追い込む3つの社会的要因
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