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かつてGAFAMなどテック大手企業の人材ハブだったシリコンバレーだが、その求心力は大きく低下しているようだ。いまはシリコンバレーに代わり、テック人材雇用はヒューストンやデトロイトなどで増えているという。その理由はこれらの都市の台頭だけではない。各種の最新データを踏まえ、シリコンバレーと他都市で起きている大きな変化を探ってみたい。
リンクトインのデータが示す、大手企業の人材雇用が多い都市
かつてGAFAMなど米大手企業の人材ハブだったシリコンバレーを含むベイエリアだが、米国内の他都市の台頭により、その求心力は相対的に低下しているようだ。
ビジネスSNSのリンクトインがこのほど発表した
米大手企業50社の人材雇用分析レポートによると、2021年大手企業による雇用数が最多だった都市は、ヒューストンであることが判明。また2~6位には、デトロイト、マイアミ、オーランド、シカゴ、オースティンがランクインした。
ベイエリアが位置するのはカリフォルニア州だが、同州からはベイエリアに近いサクラメントが7位、またカリフォルニア南端に位置するサンディエゴが8位にランクイン。このほかトップ10には、ニューヨークが9位、ナッシュビルが10位にランクインした。全体としてサンノゼなどシリコンバレーの主要都市ですらトップ10内にランクインしていない。
このランキングは、リンクトインが毎年実施している「
キャリアを伸ばせる企業トップ50(Linkedin Top Companies)」の2022年米国版にランクインした50社の雇用動向から算出されたもの。
このトップ50企業ランキングでは、アマゾン(1位)、アルファベット(2位)、アップル(9位)、メタ(12位)などGAFAM企業のほか、IBM(6位)、デル(14位)、ベライゾン(18位)、インテル(23位)、オラクル(27位)、セールスフォース(28位)、シスコ(30位)、コグニザント(33位)、ジュニパーネットワークス(46位)など多数のテック企業がランクインしており、結果として上記の人材雇用ランキングにもテック人材雇用状況が反映される形となっている。
ちなみに、リンクトインはマイクロソフト傘下の企業であるため、リンクトイン含めたマイクロソフト関連企業は、同ランキングから外されている。
コロナで加速、シリコンバレーからの人材流出
ベイエリアが人材ハブとして存在感を弱めている状況は数年前から観察されているが、パンデミックでこの状況が加速した印象だ。
Axiosがまとめたリンクトインデータ分析で、それが数字として如実にあらわれている。
この分析は、2020年3月~2021年2月の期間、リンクトインのユーザープロファイルの職場ロケーションの変化を調べたもの。分析対象となったのは、テック人材(ソフトウェア/IT系)だ。
分析の結果、マイアミ、ヒューストンなどでテック人材の流入が確認された一方、ベイエリアやニューヨークでは人材が多数流出したことが判明した。
2020年3月~2021年2月の期間で流入数が最も多かったのは、マイアミ/フォートローダーデール地域で、人材の増加率は15.4%だった。このほか、ヒューストン(10.4%増)、ダラス/フォートワース地域(8.6%増)、フィラデルフィア(8.1%増)、ロサンゼルス(6.5%増)、アトランタ(2.9%増)、デンバー(0.5%増)などで人材流入が確認された。
一方、人材流出では、ベイエリアからのテック人材流出が顕著で、その減少率は34.8%と非常に高い値となった。この数値は、ニューヨークの18.2%減やシアトルの17.2%減を2倍上回る。
このほか、ボストン(9.7%減)、ワシントン(9.6%減)、オースティン(8%減)、シカゴ(5.1%減)などで人材流出が確認された。
【次ページ】人材の流出が起きる「切実な」理由
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