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  • 2021/12/27 掲載

メタバースはバブルか? 新時代のユートピアか?「18兆円」市場の可能性を探る

連載:根岸智幸のメタバースウォッチ

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フェイスブックがメタと社名を変え、マイクロソフトも対応をアナウンスしたことから、2021年の後半は一気にメタバースがバズワードと化した。いまやWebメディアだけでなく、テレビや新聞までメタバースが日常的に話題になる。しかし、“大きなVRヘッドセットをかぶって仮想空間で生活する”というSF的イメージの奇抜さと、『Second Life』など先行サービスが失速した記憶もあって、メタバースブーム、VRブームはいずれ弾けるバブルだとする見方も少なくない。それでもなぜこれほどの盛り上がりを見せているのか。本連載では、メタバースの現状をウォッチし、今後の展開を予測していく。
執筆:根岸 智幸
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メタバースは今後どのような変遷を遂げていくのか(あとで詳しく解説していきます)

メタバースは爆発的に伸びる?

 国内でも海外でもメタバースやVR関連の市場が急速に巨大化するという予測があちこちからリリースされている。総務省の資料によれば、2023年のAR/VR機器の出荷台数は3820万台。関連ソフトウェア・サービスの売上高は69.6億ドル(約7,900億円)。2020年の1910万台、32億ドル(約3,650億円)から3年で倍増するとしている。

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AR/VR市場の動向

 米Technaviのレポートでは、ARおよびVRの市場は2021年から2025年にかけて1627.1億ドル(約18.5兆円)成長するという派手な予測を立てている。

 これらの予測はたしかにバブリーだが、メタバースとxR(VR/AR/MR)はいまだ発展途上ではあるけれど、絵に描いた餅ではない。すでに確立した技術と市場を土台にして、2022年以降は、爆発的に成長する可能性がある。

メタバースの定義とゲームの関係性

 「メタバースはVRゴーグルを使って利用するもの」と思われがちだが、広義のメタバースに属するサービスは、VRゴーグルに対応していないし、狭義の本格的なメタバースでも、VRゴーグルがなくてもPCやスマホからアクセスできる場合が多い。

 広義のメタバースの代表は、ほとんどがゲームだ。MMORPG(大規模マルチプレイヤーオンラインRPG)の『ファイナルファンタジーXIV』、オンラインバトルロワイヤルシューティングゲーム『フォートナイト』、サンドボックス型と呼ばれる世界をゼロから構築する『マインクラフト』、無人島開拓ゲーム『あつまれ どうぶつの森』などが、例としてよく挙げられる。

 この4つは、ゲームとしてのジャンルは異なるが、3つの共通点がある。

  • ゲーム内での自分の姿かたちや服装を選べる
  • ユーザー同士で会話できるチャット機能
  • ゲーム世界内の生産行為で自分の趣味嗜好を活かせる

 この3つの意味することは、ゲームの仮想世界が自己表現とコミュニケーションの場として機能しているということだ。

 マズローの5段階欲求で言うと、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の上位3つの欲求をメタバースは満たすことができる。

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ソーシャルやメタバースに当てはめて考えるマズローの5段階要求
(出典:著者作成)

 1980年代にパソコン通信が登場したときから、ネットは時間と空間を超えて価値観が近い人たちを結びつけ、仮想コミュニティを作る役割を果たしてきた。個人の自己実現とコミュニティ作りの最新の場がメタバースなのだ。

次世代SNSとしてのメタバース

 現状では、ネットにおける自己実現とコミュニティ作りはSNSが担っている。メタバースはそれを置き換えていく。

 フォートナイトのユーザー数は2021年6月時点で5億人を超えた。米国の著名歌手アリアナ・グランデのコンサートが行われるなど、戦闘ゲーム以外のサービスや機能が注力され、それを目当てにしたユーザーが急増したという。2021年12月には、会話やミニゲームでのんびり過ごすためだけの「パーティワールド」も公式に提供された。

 VRを主に使用し、狭義のメタバースの代表とされる『VRChat』のユーザー数は公開されていないが、同時接続数は常時1万5000人、最大で2万4000人程度だ。フォートナイトの同時接続数が850万人という数字もあり、同時接続率が1%~2%程度だとすると、VRChatの登録ユーザー数は200万人くらいかもしれない。

 ユーザー数ではFacebookの28億5000万人、Instagramの10億人に比べれば小さな数字だが、一方でFacebookのMAU(月間アクティブユーザー数)の伸びは1%を切ったとされ、成長が鈍化している。若年層のFacebook離れは以前から指摘されていたが、Instagramも若年層が減っており、減ったSNS人口の受け皿にフォートナイトやVRChatがなっていく可能性はある。

 フォートナイトは現状ではVRに対応していないが、運営会社のEpic Gamesが世界中の3Dゲームに提供している『Unreal Engine』はすでに主要なVR規格に対応している。VRに対応しようと思えば、いつでもできる状況だろう。

 北米限定で公開が始まったメタの『Horizon Worlds』は、この領域に後発として参入することになる。

【次ページ】ビジネス空間としてのメタバース
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