- 2022/01/08 掲載
原田マハ×ヤマザキマリ対談:美術館は「幸せになりに行く場所」である(2/2)
美術館とは幸せになりに行く場所
原田さん:美術館ってみんなが幸せな気持ちでいる場所だと思うんです。あの空気感は言葉にしにくいですが、みんな、幸せになりに美術館に行くと言ってもいいかもしれない。赤ちゃんを美術館に連れて行ってなにがわかるの? とおっしゃる人もいるでしょうが、幸せな空気が溢れている場所へ連れてきてもらっていると感じることが、とても重要です。日本では子どもが泣いたり、騒いだりしたら困るからと、美術館から足が遠のいている親御さんも多いと思いますが、子どもは泣いたり騒いだりするのが仕事だから、いいんですよ。実際、美術館で泣きわめいているお子さんを見たことがないですし、子どもなりに楽しい空気が流れている場所だと感じているはずです。ヤマザキさん:イタリアに引っ越してからは、親族とごはんを食べたあとに、「展覧会に行ってみようか」と自然な流れで美術館へ行くことが多かったですね。ハイソな家庭でなくても、日曜日の過ごし方として、美術館へ出かけていく。日本でも話題のお店ができたら、行ってみようかってなりますが、あの感覚でふらっと美術館に行くのが当たり前の生活をしていると、大人になっても自然とアートに関心を持つようになりますよね。
原田さん:大人になるまでに美術館で幸せな空気を覚えてもらえたら、きっと戦争がない世の中になりますよ。紛争地帯では文化芸術を楽しむ場所や時間がなくて、追い詰められている人たちもたくさんいて、文化芸術があることは、平和である証拠のひとつです。
ヤマザキさん:かつてはアートをお芸術、という感覚で捉えていましたが、いまとなっては、みなさん、海外旅行も行かれていますし、宗教画だから捉えようがなくてわからないといった印象も少ないと思います。子どもたちに関心がある、なしにかかわらず、教育のためにいいとか、悪いとかも無視して、ふだん日常的に馴染みのない場所に行くことで、旅行以外の形で子どもたちが価値観の違いを感じとれるのが美術館の良さでもあります。
ヤマザキさん:わかります。私は「この世に生まれ、残されるべきものとして、選ばれたのだなあ」ということを、感じながら見ますね。
原田さん:美術館が美術品を世界中の人たちに見せる場を提供し続けるのは、大変な努力がいることですし、もちろんお金もかかります。本気になって維持していくのはなかなかできないことで、私たちが美術館、アートを助け続け、次の大人になる人たちのために繋いでいかなくちゃいけないですね。
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