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従来、人工知能(AI)は人間のクリエイティビティを模倣することはできないと言われてきました。クリエイティブな領域は人間だけのものだと思われてきたのです。ところが、そうした状況も変わりつつあります。絵画、デザイン、映像、音楽、文章執筆といったタスクにもAIは進出を始めており、クリエイティブなタスクが人間だけのものではなくなってきました。今回は、クリエイティブ領域におけるAIの活用について解説します。
絵画を描くAI
映像認識に優れたAIは、人間が作った絵画・デザイン・ファッションから「優れた特徴」を学び取ることができます。最終的には特定の画風をまねて、ある種の「贋作」を作ることもできるようになりました。
もちろん、贋作を作れるだけではクリエイティブとは言えません。しかし、AIは複数の画風を組み合わせた独自の画風で作品を作れるようになっています。
人間のアーティストも幼少期からさまざまなスタイルの芸術を学び、それを組み合わせる形で独自の作風を作り上げていきます。真の意味でゼロから作品を創造しているアーティストはいないでしょう。それと同様に、AIもさまざまな画風から「優れた作品の特徴」を学び、それらを巧みに組み合わせて作品を作るようになったのです。
ファッションチェックするAI
それ以外にも、デザインやファッションを「評価」するAIも登場しています。AIが人間のイメージ通りにデザインを作ってくれれば良いのですが、AIにイメージを伝えるのは容易ではありません。自分のイメージ通りのデザインを作るのはまだまだ人間のデザイナーの仕事です。ただ、その中で人間でも「優れたデザイン」を見極めるのは難しいでしょう。
どんなデザインにも優れた点があり、甲乙つけたがいことがありますが、それを数値化して評価してくれるのがAIというわけです。このデザインはどのターゲットに訴求力があり、どんなイメージを与えるのか、そういった点が見えるようになれば、目的に沿ったデザインを選びやすくなるでしょう。
それと同じ要領で、コーディネートを提案してくれるアプリも登場しており、自分のイメージに合ったファッションを探すのにも役立ちます。店頭にあるディスプレーが搭載されたカメラで現在のファッションやスタイルを分析すると、自分に似合う商品が表示され、スマホで着たい服の写真を撮ればそれに合わせたコーディネートを提案してくれます。
人間のセンスに委ねられていたファッションも、AIのアドバイスを聞くことで、ある程度は客観的に見れるようになるでしょう。
作詞・作曲するAI
音楽や映像の分野も例外ではありません。音楽分野では、ヒット曲を分析して「ヒットしやすい曲」を作曲・評価してくれるAIや、自分がイメージする雰囲気にあったBGMをその場で作成してくれるAIなどが登場しています。
作曲だけではなく、AIが作詞をし、合成された音声で歌うこともできるようになっており、人間が希望を出せば、その場でオリジナル曲を作ることも可能です。
もちろん、作詞・作曲・歌唱のすべてがプロのアーティストレベルとはいきません。それでも、人間が少し手を加えれば、ちょっとしたゲームや動画の制作に使える程度にはなるため、十分に実用的と言えるでしょう。
映像作品を作るAI
映像についても、映像合成の分野で「映像の続きを作る」ことができるようになっています。スポーツや車の動きのように、決まったパターンがある場合に限りますが、監視カメラのような定点カメラ映像であれば、車が真っすぐ走っていく映像を作り出すことは難しいことではありません。
こうした技術は映像作品の背景づくりに応用できるほか、すでに完成した作品をクリップして「予告編」や「ダイジェスト」も作ってくれるAIも登場し、編集ソフトやサービスに統合されて自動でおすすめのクリップを作ってくれるようになっています。
そのほかにも、「脳波に合わせて脳を活性化させる曲を作るAI」や「人間のメロディーに合わせてデュエット演奏してくれるAI」なども作られるようになっており、「音」や「映像」を扱う世界もAIの得意領域になりつつあります。それでも人間のアーティストと比較すると見劣りするため、人間の作品を代替するものというよりは人間の創作活動や創造的生活をサポートするAIに近いでしょう。
小説を書くAI
小説・記事・コピーライティングをするAIも登場しています。小説を途中まで書いたら続きを書いてくれるAIやレポートをまとめて記事にしてくれるAI、テーマやメッセージを決めるといくつかのコピーを提案してくれるAIなど、高い自然言語処理能力を持ったAIが多数登場しています。
小説では、人間がプロットを作ってAIが途中まで書くほかに、プロットや設定を作るAIなども存在し、使えそうなプロットを人間が選んで仕上げることで有用なプロットができあがります。それに合わせて人間が簡単に各シーンの導入部を書けば、小説が仕上がるというわけです。
記事については用途によるものの、要約記事や時事的なニュース記事であれば人間のライターと変わりないクオリティーの記事を書けるようになっています。AIが書いたある種のまとめ記事がブログランキングのトップに掲載されるようなケースも現れました。
コピーライティングについては、AIが提示した案が使えなくても次から次へとアイデアを提示してくれるので、その中から有用なものを採用して仕上げる形で使えば十分に有用でしょう。
用途次第では人間に匹敵するクリエイティブレベルに
クリエイティブ領域のAIは用途や目的次第では人間に匹敵するレベルに達しており、人間の創造的なタスクを支援するという意味では十分に実用的なものとなっています。特に、創造的なコンテンツを作る際に必要となる「アイデア」「素材」「評価」に使えるAIというのは数多く登場しており、すでにクリエイティブなAIをビジネスに取り入れて成果を出す企業も現れました。
クリエイティブAIは「まだまだ人間には及ばない」とライバルのように考えるのではなく、自分たちの作業を効率化するために使うサポーターとして捉えることが大切なのかもしれません。
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