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  • 2021/07/13 掲載

ファブレス企業とは?OEMと何が違う?アップル、キーエンスなど成功事例も解説

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「ファブレス企業」という言葉を聞いたことがあるだろうか。コロナ禍でも好調なアップルやユニクロ 、そしてキーエンス などはファブレス企業として知られている。しかし、ファブレス経営はメリットばかりではない。ファブレス企業とはどのような企業なのか、ファブレス経営のメリットとデメリット、ファウンドリ企業との違い、そして有名企業の事例について解説する。
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アップルもファブレス企業として知られている
(Photo/Getty Images)

ファブレス企業とは

 ファブレス企業とは、生産を行う施設を自社で持たない企業を指す。生産を行う工場などの施設のことを英語で「fabrication facility」と表現し、「施設を持たない」という部分をlessで表現している。

ファブレス企業とファウンドリ企業の違い
 ファブレス企業と対になる言葉に「ファウンドリ企業」がある。ファブレス企業は、製品の企画と開発を担当し、製造以降の工程は、他の企業に任せる。一方、製造以降の工程を担当する企業がファウンドリ企業だ。

 ファブレス企業は、ファウンドリ企業に対して企画開発した製品の製造を委託する。ファウンドリ企業は、受注した製品を納品する。ファブレス企業は、製品の企画と開発のみに集中するため、開発スピードが速く世の中の変化にも迅速に対応できる点が強みだ。

 一方、ファウンドリ企業は製造や品質管理に集中できるため、大量生産を行いやすく、品質の良い低コストの製品を供給できる点に強みがある。

ファブレス企業に向いている業界

 ファブレス企業に向いている業界は、実際に製品を製造する工場が必要で、なおかつ迅速な商品開発が求められる業界である。代表的な業界について見ていこう。

半導体メーカー
 半導体は、製品の開発サイクルが小さい。しかも、精密機器であり「製造工場の建設には莫大な費用がかかる」という特徴がある。そのため、昔からファブレス経営は多くの企業で取り入れられた。今でも、多くの半導体メーカーはファブレス企業として活躍している。

インテリアメーカー
 インテリアメーカーも、ファブレス経営とマッチする業界だ。同じ収納家具でも色違いや幅違いなど、カーテンや寝具などのファブリックにしても、バリエーションはさまざま。流行によって求められるデザインも大きく変わっていく。

 このような場合に、自社工場しかないと必要に応じて設備を追加したり変更したりしなければならない。しかし、ファウンドリ企業が複数あり、それぞれに特徴が異なれば、製造の依頼先を変えることで、設備投資を増やすことなくバリエーションの多い製品化も可能となる。

飲料メーカー
 飲料品も頻繁に新商品が開発される業界だ。ペットボトルや紙パックの飲料を思い浮かべても、毎月のように期間限定のフレーバーや、新しい製品が常にコンビニの店先に並んでいる。飲料メーカーも商品の企画・開発に力を入れ、生産や物流は専門の企業に委託している傾向だ。

OEM・アウトソーシングとの違い

 ファブレスと混同しがちな用語である「OEM」や「アウトソーシング」との違いについても確認していこう。OEM(相手先ブランド供給)やアウトソーシングは、ファブレスと似た概念であり混同しやすい。

OEMとは
 OEMとは、「自社製品」を他社ブランドとして供給する方法だ。ファブレスは、あくまでも自社ブランドの製品を企画・開発するためOEMとは異なる。

アウトソーシングとは
 アウトソーシングとは、本来自社の仕事を外部に委託するため、ファブレスのように元から企業間で垂直分業をするのとは異なる。

 OEM・アウトソーシング・ファブレスとの違いについては、次の記事に詳しく記載されているので、参照してほしい。


ファブレス経営の4つのメリット

 ファブレス経営のメリットを4点にまとめて解説する。

初期投資を抑えられる
 ファブレス経営の第1のメリットは、工場建設の初期投資を抑えられる点だ。工場の建設には、用地の獲得や建設費用で莫大な初期投資が必要となる。また、人材の確保にもコストがかかりがちだ。

 工場をすでに保有している既存企業に製品の生産を依頼すれば、これらの初期コストは不要となる。そのため、資金面で非常に身軽になり、起業したばかりのベンチャー企業でも製品開発がしやすい。

スケールメリットによるコストダウン
 大きな工場を建設するのは難しくても、小さな工場なら何とか建設できるかもしれない。しかし小さな工場では大量生産ができず、工場の建設費用や原材料の仕入れも割高となり、製品の価格が高くなってしまう。

 大量生産が可能な工場なら工場の建設費は不要で、原材料を大量に仕入れて原価を抑えるといった施策が可能だろう。また、スケールメリットによるコストダウンの効果が期待できる。結果として、より低価格で製品を販売できる。

自社の得意分野に集中できる
 「製品の企画・開発は得意だが、生産面が弱い」という企業にとって、ファブレス経営は自社の得意分野に集中できる点が大きなメリットとなる。製品の生産にかけていた自社リソースも得意分野である製品の企画・開発に集中できる。

市場の変化にスピーディーに対応
 市場の変化に素早くついていける体制を整えるのに、ファブレス経営は非常に向いている経営手法だ。製品の企画と開発に集中できる経営は、市場の変化に対してスピーディーに対応できるフットワークの軽さにもつながる。

 技術の日進月歩が激しい半導体製造や、流行を常に追い続ける必要があるアパレル業界などは、特に市場の変化が大きくて早いため、乗り遅れると売上高の減少に直結しかねない。

【次ページ】 アップルやキーエンスの事例、有名ファブレス企業10社の紹介も
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