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昨今、電動キックボードサービスの勢いが盛んだ。セグウェイのように、海外では自由に走れるのに日本では規制が厳しく普及しない事例も多い中、電動キックボードについては少しずつ海外並みになりつつある。この領域に関する日本のこれまでの歩みを振り返りつつ、ひと足先に電動キックボードを利用してみた立場から、使い勝手や今後の展望までレポートする。
セグウェイは普及しなかったが……
いまでこそ立ち乗り型電動パーソナルモビリティといえば電動キックボードだが、このカテゴリーのパイオニアと言えるのは2001年に米国で発表されたセグウェイだ。でもセグウェイは結局メジャーにはならなかった。
日本では発表の2年後、現在の輸入販売元とは別の会社が警察の許可を受けずに一般公道を走行したことがその後に響いた。輸入販売会社の経営者が書類送検され、車両にはブレーキやランプ類がないことから、法的には「整備不良」になるという事態に発展したのだ。
よって現在の輸入販売元は、公道走行は講習を受けたインストラクターによるガイドツアーの実証実験に限定し、それ以外に空港や駐車場、スポーツ施設といった公道以外での警備などにとどめることになった。
セグウェイは世界的にも、話題になったわりには売れなかった。1台100万円前後と高価だったことが大きい。よって、2015年に後発企業の1つ中国ナインボットに買収されると、2020年に米国での生産を終了した。
このセグウェイと入れ替わるように普及してきたのが電動キックボードだった。当初は個人向け販売だけだったが、2017年に米国でシェアリングが始まると、ラストマイルのモビリティサービスとして世界中に広まった。安いものでは1台5万円以下という安さに加え、軽くて持ち運び可能だったことも大きい。
また、日本以外の多くの先進国では、セグウェイを新しいモビリティとして認め、たとえばドイツでは自転車レーンOKにするなど、公道走行を認める国も結構あった。電動キックボードもセグウェイと同じ扱いとしたので、すんなり路上デビューできたのだ。
一方の日本では、原付(第1種原動機付自転車)としての登録になった。公道で乗るには運転免許の取得やヘルメットの装着が必要になったのだ。それでも2018年からはいくつかの事業者がシェアリングのサービス、公園やイベント会場など公道以外の空間での実証実験を始めている。
この時点ではセグウェイのように、限定された場面での使用になるのではないかと筆者は思っていた。ところが2019年になると事態が変わっていく。
Luupら4社がヘルメット着用任意の公道実証を開始
政府の成長戦略の1つである「規制のサンドボックス制度」に、Luup(ループ)とmobby ride(モビーライド)の2つの事業者が認定され、大学構内などを道路と位置づけて規制改革のための情報を収集していくことになったのだ。さらに東京モーターショーでは、有明エリアと青海エリアの2拠点展開となった会場間の移動が、電動キックボードなどのパーソナルモビリティで移動可能となった。
2020年になるとLuupが東京都内で、原付登録の車両による公道での実証実験を始めた。この時使われた車両は最高速度を20km/hとすることで、ウインカー装着を任意とするなど最高速度20km/h未満の自動車に認められる保安基準の緩和を活用し、車道のほか車道上の自転車レーンも走行可能としていた。
そして今年3月には、やはり最高速度を20km/hとした原付登録の車両をドン・キホーテが一般向けに発売。税抜き3万9,800円という価格もあって注目を集めた。一方、翌月にはLuupら4社が、登録を小型特殊自動車とすることで最高速度を15km/hに抑える代わりにヘルメット装着も任意とする実証実験を都内で始めている。
【次ページ】Luupの電動キックボードを実際に乗ってみた
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