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- 2021/03/15 掲載
コープさっぽろCIO・元メルカリ執行役員が語る、「DXで失敗する企業」の特徴
あなたの会社のDX、本当に効果はある?
日本企業が実践するデジタルトランスフォーメーション(DX)は、はたして生産性向上につながる取り組みとなっているのだろうか。生活協同組合コープさっぽろ CIO、ロケスタ 代表取締役社長の長谷川秀樹氏は、「多くの企業は、営業システムや勤怠システムなど、既存業務に特定のシステムを導入することをDXだと考えていますが、それは劇的に業務を効率化させる取り組みとは言えません。業態にもよりますが、一般的なホワイトカラーの業務のうち、実際に特定のシステムを使用する時間は限られており、そこにテコ入れしても大きな改革にはなりません」と強調する。
長谷川氏によると、「既存業務をシステムに置き換える」というのは、2000年初頭のデジタル化の考え方だという。当時は、紙を中心とした業務がPCとそこで動くWordやExcelなどのシステムに置き換わり生産性は格段に向上した。「スマートフォンやクラウドサービスが普及した現代においては、業務をオンライン上の作業に移行し、それを自動化することこそ、DXの本質だと考えています」と長谷川氏は語る。
ここからは、さらに踏み込んで日本企業が陥りがちなDXの失敗事例を紹介するとともに、長谷川氏が提案する時代環境を踏まえた「DXの在り方」を解説したい。
オンライン上で働くことのメリット
なぜ、業務をオンライン上の作業に移行することが重要なのか。長谷川氏が提案するDXの在り方を理解するためには、まずオンライン上で仕事をすることのメリットを知る必要があるだろう。メリットの1つに、物理的制約がないことが挙げられる。たとえば、物理世界では、8人で会議したくても6人部屋しか空いていないために延期したり、相手が出張しているので打ち合わせできなかったり、ということはよく起きる。しかし、オンラインの世界であれば、会議には何人でも参加できるし、出張先からでも参加できる。
また、長谷川氏はオンラインの世界では、「時差があっても良い」と指摘する。
「物理世界では、会議するときスケジュールを合わせる必要があります。たとえばSlackのオンライン会議室を使えば、相手の予定や都合を考える必要はありません。必要なことを書き込んでおけば、非同期で会議が進んでいきます。つまり、時差があっても良いのです」(長谷川氏)
さらに、オンラインの世界ではディスカッションの履歴が残る。わざわざ議事録を残さなくても、議論が時系列に記録されているので、後から見返せば議論の流れ・内容を把握できる。
また、情報が瞬時に拡散するのもオンラインの特長だ。長谷川氏は、「これまでの働き方の中では、経営トップが言ったことを役員が聞き、役員が部長に伝え、部長が課長にと、社内で伝言ゲームをする必要がありました。しかし、オンラインの世界ではトップのメッセージが一瞬で全員に伝わります。ダイレクトに伝わるので、途中で情報が抜けたり追加されたりすることもありません」と語る。
【次ページ】「複数の自分を用意する」働き方のメリット、「資料作成」「会議」のオンライン移行のメリットとは……
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