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- 2020/10/20 掲載
世界の製造業がコロナから「元に戻る」には何年かかるのか?「厳しすぎる」見通し

(詳細・高解像度版は後述)
COVID-19からの回復シナリオとは
パンデミックからの各国・各地域の経済回復の速度は、感染をコントロールするための対策の違いによって差が出ると予測されます。どのような対策を取るのであれ、COVID-19の影響を無視することは、経済的なダメージをより長引かせることにつながります。回復速度には感染状況以外の要素が関わってくることももちろんあります。たとえば、ドイツはウイルスの抑制に比較的成功しています。しかし、米国をはじめとする主要な輸出国が経済的ダメージの影響を受けており、輸出主導型経済のドイツも他国同様に苦しい状況となっています。
ほとんどの国において、市場の正常化には時間がかかると考えられています。たとえば中国では、経済の早期回復が見られましたが、中国が採った措置は他の国、特に自由主義、民主主義の欧米諸国からするとプライバシー規制や政治的期待に反しています。この点を考慮すると、中国をまねて回復を試みる国はほとんど無いと考えられます。
グローバル市場が正常に再機能するためには、ワクチンの存在が不可欠だと私たちは考えています。2021年にはワクチンが利用可能になると予想されていますが、予想が実現しない可能性ももちろんあります。その場合には、生産高や経済の予測は、下方修正されるでしょう。
産業ごとに与えた影響とは?
世界的には、すべての産業部門においてCOVID-19による景気後退の影響が見られます。ロックダウンと売り上げ不振は、特に自動車、航空宇宙、繊維産業に大きな打撃を与えました。欧州全体では、航空宇宙産業の生産額は2019年の1,832億米ドルから、2020年には1,338億米ドルへと27%の減少が予測されています。自動車産業の生産額は、2019年には2018年の9,000億米ドル超から8,814億米ドルへと既に落ち込んでいましたが、2020年は、対2019年比でさらに26.2%減の6,508億ドルへと縮小すると予測されています。
繊維産業では、2020年は対前年比でマイナス23.9%と予測されており、航空宇宙、自動車に次いで3番目に打撃の大きい業界となっています。
欧州で2020年に成長の兆しがあると予測されている唯一の産業は食品・飲料業界です。誰もが飲食をしなければならないことから、食品・飲料産業は2020年0.3%の成長が予測されています。
しかし2017年の5.8%、2019年の1.5%のプラス成長と比較すると、0.3%の成長は、失業や賃金の引き下げを伴う一時帰休による影響が食品・飲料への支出の鈍化として表れていることがわかります。
【次ページ】製造業の上位10か国の回復見通し

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