• 会員限定
  • 2019/09/27 掲載

“IT企業トヨタ”が挑む「エッジコンピューティング標準化」への道

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
トヨタ自動車とNTTグループが、インターネットに常時接続された「コネクティッドカー」向けICT基盤の開発に取り組んでいる。次世代移動サービス「MaaS(Mobility as a Service)」の中核技術を開発に協業プロジェクトに挑む、トヨタ自動車のプロジェクト責任者がNTTデータのイベントの基調講演で明らかにした。その話から協業プロジェクトの舞台裏に迫ってみたい。
画像
トヨタ自動車コネクティッド先行開発部InfoTech室長の前田篤彦氏
(出典:筆者撮影)

コネクティッドカー向けICT基盤を共同で開発

「コネクティッドカーは数年後に数百万台が市場に出てくる見通しだが、そこから発生する膨大なデータを収集し蓄積、活用する技術は未確立のままだ。その課題解決に向け、NTTグループと力を合わせて取り組んでいる」──。トヨタ自動車コネクティッド先行開発部InfoTech室長の前田篤彦氏は、NTTデータが先頃都内で開いた「NTTデータ テクノロジーカンファレンス 2019」の基調講演でこう切り出した。

 両社の協業プロジェクトでは現在、トヨタの車の技術とNTTグループの分散処理などの技術を融合させて実現性を検証するとともに、実車を活用した次世代の大規模コネクティッドカー基盤の実証実験中という。前田氏はこの協業プロジェクトの責任者を務めている人物である。

 同氏は協業プロジェクトの具体的な話に入る前に、自動車業界を取り巻く環境の変化について説明した。同業界は今、「100年に一度の大変革期を迎えている」と言われている。大変革期の先には、次世代移動サービス「MaaS」(マース)の世界が広がっているとされる。図1に示した内容が、トヨタにおけるMaaSの概念である。「MaaSは移動のあり方を変える原動力になり得る」というのが同氏の見方だ。

画像
図1:トヨタにおけるMaaSの概念
(出典:NTTデータ テクノロジーカンファレンス 2019 トヨタ自動車発表)

トヨタ「モビリティカンパニー化」の実際

 こうした大変革期に向け、トヨタは2018年1月に「カーカンパニーからモビリティカンパニーに変わる」ことを宣言。つまり、車の製造、販売から移動サービスを提供する会社に変身することを明言した。

 前田氏はもう1つ、「CASE(ケース)」というキーワードを挙げた。「コネクティッド化」「自動運転化」「シェア/サービス化」「電動化」を意味する英語の頭文字を並べた言葉で、MaaSを構成する重要な要素を表している。

 同氏は、「車産業をはじめとして社会を変えていくのは、シェア/サービス化。それを支える技術として、コネクティッド化、自動運転化、電動化の進展があるというのがCASEの考え方だ。CASEにおいては、競争する範囲やルールがこれまでとは異なるものになる。一方で、協業する仲間もこれまでにない組み合わせになる」との見解を示した。トヨタにとっては、今回のNTTグループとの協業がまさしくそれに当てはまる形だ。

 では、協業プロジェクトの具体的な話に入ろう。トヨタでは今、MaaSに向けてさまざまなサービスを実現する「モビリティサービスプラットフォーム」の構築を進めている。図2がその概要である。

 このプラットフォームを通じて、あらゆる企業とサービスを相互に連携し、新たなモビリティ社会の創造に寄与するというのが、同社の考えだ。こうした動きは自動車メーカーというよりはITプラットフォーマーやIT企業の取り組みそのものだ。
 
画像
図2:モビリティサービスプラットフォームの概要
(出典:NTTデータ テクノロジーカンファレンス 2019 トヨタ自動車発表)

 前田氏によると、このプラットフォームの実現に不可欠なのが、個々の車をコネクティッドカーにしてグローバル通信プラットフォームにつながるようにすることだ。トヨタは日米を皮切りに新型車から通信機能を標準で搭載する計画で、ゆくゆくは年間400万台のコネクティッドカーを世に送り出していく構えだ。

【次ページ】協業プロジェクトの目標と課題は
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます