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- 2019/07/26 掲載
宅配アプリの「Rappi(ラッピ)」はどんな企業? ソフトバンクが10億ドル投資した中南米企業の正体
ラテンアメリカ市場で10億ドルを調達したRappiとは?
この大型資金調達をリードしたのがソフトバンク・イノベーション・ファンドだ。同ファンドは2019年3月にラテンアメリカ市場に特化したファンドとして設立された。同ファンドの規模は50億ドルで、2018年のラテンアメリカ市場への投資額19億8,300万ドルを大きく上回る。
ラテンアメリカでは中流階級が急激に増加し、可処分所得が増えていると言われる。スマートフォンが普及し、モバイル・インターネットやEコマースが発展する一方で、「銀行口座を持たない人が多い」「交通インフラが整っていない」といった課題が指摘されている。解決すべき社会問題と新しく生まれるリソースが共存するラテンアメリカは、新規事業を立ち上げるのに適した環境にあるのだろう。
中南米に特化したソフトバンク・イノベーション・ファンドが、前述の宅配アプリ「Rappi」を、その最初の投資先として選んだ。東京などの都市圏を中心に利用が増える「Uber Eats」と同様、アプリで注文すると、レストランの料理を自宅まで配送してくれるサービスだ。自転車やバイクを持った配達員がデリバリーを担当し、すきま時間で収入を得られる機会が得られる仕組みになっている。
現金まで宅配するラテンアメリカのお国柄事情
Rappiの特徴は、レストランの料理以外にも、あらゆるものが注文できる点にある。スーパーにある食料品からドラッグストアの薬品、電気製品も対象となる。犬の散歩といったサービスも注文できるため、生活に必要な、かなりの活動が網羅されている。驚くべきことに、ATMに行かずとも現金を宅配してくれる「RappiCash」というサービスも導入されている。多くの宅配アプリでは登録したクレジットカードからの支払いが主流であるが、Rappiの場合、銀行口座を持たないユーザーに配慮し、現金払いも認められる。また、「RappiPay」というサービスでは、QRコードを使ったモバイル決済や、送金といった機能が提供されている。
Rappiのビジネスモデルはアプリを使用するユーザー、配達員、そして、商品を提供するレストランや小売店の3者から構成される。主な収益はユーザーから徴収する手数料であるが、小売店側からも共同プロモーションを通じて収益化している。ソニーと協業してゲーム用品を販売したり、コカコーラと飲料品を販売したりといった例が挙げられる。
興味深く戦略的な提携に、フランスの製薬会社Sanofiとのパートナーシップがある。ラテンアメリカ市場において、薬局で処方箋を必要とせずに市販されるOTC(Over The Counter)薬品のデリバリーを進めるものだ。将来的には、処方薬販売や、医師の往診依頼といったメディカル・サービスへの進出が期待される。Rappiでファストフードばかり注文している人は健康リスクが高いというように、注文履歴から製薬会社の販促に使えるデータが取得できるのも強みだ。
【次ページ】社会インフラの未整備が宅配ビジネスに追い風に
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