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国内動画広告市場は急成長を続けており、インターネット広告市場の10%以上を占めるまでに拡大しています。その背景にはスマートフォン(以下、スマホ)の普及と通信回線の速度の発展が関係しています。そして、2020年に「第5世代移動通信システム(以下、5G)」の商用化が予定されています。ここで見逃されがちなのが、5Gと動画の関係です。動画広告活用の現状と課題、そして5G時代に通用する動画広告クリエイティブを解説します。
5G時代の到来
インターネットの変遷を振り返ると、2000年代では、個人のインターネット普及率が37.1%から78.0%まで伸び、多くの情報がオフラインからオンラインへ置き換わりました。ADSLや光回線というインフラの整備が大きく貢献し、誰もがインターネットを利用する「インターネットシフト」が起きました。
2010年代では、東京地区でのスマホ所有率が9.8%から82.2%に上がるなど、個人で通信デバイスを所持し、あらゆる情報をスマートフォンから得ることができる環境になりました。これは「スマホシフト」と理解できます。このように、インターネットでは、10年周期で大きな波が起きています。
そして、次の10年のキーワードになるのが「5G」です。インターネットが当たり前のように使えるようになるインフラの変化、インターネットに常時つながっていられるハードの変化、その土台の上に、インターネットがより豊かになるソフトの変化が次の10年に起きようとしています。
これまで通信環境が良くなかったため、テキスト中心の伝達手段しか持ち得なかった情報も、5Gによる通信速度の向上で、データ容量に左右されなくなるため、動画などのよりリッチなコンテンツで伝えられるようになる情報の伝達方法の変化、「コンテンツシフト」が起きようとしています。
5Gの3つの特徴
まず5Gの大きな特徴は3つあります。1つ目は「超高速」で、通信速度が4Gの毎秒1ギガビットから5Gでは毎秒10ギガビットに向上し、2時間の映画を3秒でダウンロードできます。インターネットにつないで視聴していた動画が止まったり、音声が途切れることがなくなります。
2つ目は、「超低遅延」で、4Gの10ミリ秒(1/100秒)ほどの遅延から5Gで1ミリ秒(1/1000秒)ほどの遅延に短縮され、遠隔地のロボットのリアリタイム操作ができるくらい、ほぼ通信の遅延を感じさせなくなります。インターネット回線のビデオ通話が数秒遅れたりすることもなく、写真や動画をスマホ内ではなくクラウドに保存しても待ち時間なく見ることができるようになります。
3つ目は、「多数同時接続」で、5GであればスマホやPCだけでなくカメラや家電なさまざまなデバイスがインターネットに接続できます。
5Gは新しいSNSを生む?
現在でも多くの動画系サービスが存在していますが、テキストや画像がメインのサービスと比べると、動画はデータ量が飛躍的に大きくなります。そのため、動画を長時間見るとスマホのバッテリーへの負荷がかかります。また、通信コストの面でも、通信制限の制約があるため、動画の視聴時間を制限していたり、LIVE映像を見る場合や動画のアップロードやダウンロードはWi-Fi環境にするなど工夫しているスマホユーザーは珍しくありません。
今後、5Gの活用が始まり、通信の高速化が起きるとバッテリー負荷の軽減はもちろん、通信制限を気にする必要のない通信コストの安いプランが当たり前になり、誰もがどんな環境や場面でも動画の視聴を当たり前にできるようになります。
これまでテキストや画像がメインだったコミュニケーションが動画に変わる可能性もあります。TikTokやInstagram Storiesになれている若い世代は、すでにテキストや画像よりも動画でのコミュニケーションを好んでいます。5G時代に新世代SNSが現れ、新たなコミュニケーション手法が生まれることも予測されます。
5G時代は、オンラインだけでなく、オフラインでの動画の活用が広がります。JR東日本は山手線を皮切りに車内広告のデジタル化を進めています。E235系では、窓の上にずらりとデジタルサイネージが並んでいます。以前のような宙吊りやステッカーのようなテキストと画像で構成された広告は見当たらなくなっています。電車以外でもタクシーやエレベーターのサイネージなど今後は多様な場所で動画の活用が進んでいきます。
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