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- 2019/06/03 掲載
ゲノム編集で注目のCRISPR、活用は吉と出るか凶とでるか
現実味を帯びてきた「デザイナーベビー」
CRISPR/Cas9と呼ばれる技術は、遺伝子の特定部位を別の塩基配置に置き換える技術である。簡単かつ正確にターゲットとなる遺伝子部位を別の配置に置き換えることにより、遺伝性の疾患などの治療に大きく役立つと期待されている。ただしこうした技術が変に発展すると、いわゆる「デザイナーベビー」(受精卵の遺伝子操作などにより、親の望む外見・知力・体力などを与えられた子ども)の誕生につながりかねない。両親の遺伝子から優れた部分だけを受け継ぐように胎児期に遺伝子を組換える、あるいは他人の遺伝子を組み込むことにより頭脳が優秀、外見が秀でている、病気に対する抵抗が強い、などカスタム化された子供を持つことも夢ではなくなるためだ。
米国ではデザイナーベビー実験が凍結
この実験を行った科学者は「現時点でCRISPRの技術と特定遺伝子部位についての研究はまだ黎明期にあり、新生児のゲノム編集に効果があるかどうかには議論の余地がある」と語っていた。
またCRISPRのエキスパートとして知られるMITのフェング・ジャン教授も中国の試みに対し「今回行われた胎児からCCR5塩基を取り出すという行為は、HIV感染リスクには有効かもしれないが、一方で西ナイル熱など他の疾患への感染リスクが高まる可能性がある」とも指摘している。
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