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  • 2020/03/24 掲載

白内障「眼内レンズ」市場が2025年問題で急成長、4月から保険適用変更でどうなるか

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加齢に伴って発症しやすくなる傾向がある目の病気、白内障。外科手術で目に眼内レンズ(IOL)を入れる治療法がよく行われているが、日本はその眼内レンズの技術で世界のトップレベルにある。人生100年の長寿社会が到来し「2025年問題」で人口の超高齢化が進む日本は今後、白内障手術が増え、眼内レンズも市場拡大が見込まれる。2020年4月に保険適用が変更される動きもあり、2020年代の成長を期待するメーカー各社の目の色も変わってきた。
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白内障の治療で使われる「眼内レンズ」、市場動向を解説
(Photo/Getty Images)

白内障は80歳を超えたらみんな発症する?

 白内障は、目のレンズにあたる部分「水晶体」が白く混濁して、視力が低下する病気だ。加齢に伴って、発症率は上がるといわれる。厚生労働省の「患者調査」によると2017年の推定患者数(入院、外来)は9万800人で、その88.9%が65歳以上の高齢者で占められている。

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白内障の年齢層別推計患者数と比率

 政府の厚生科学研究補助金を受けた「21世紀型医療開拓推進研究事業(EBM分野)」の「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」で、金沢医科大学病院眼科の佐々木洋講師が行った分担研究報告によると、白内障の水晶体混濁の有所見率は加齢に伴って増加し、日本での初期混濁も含めた水晶体混濁有所見率は50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、80歳以上で100%と報告されている。

 人生100年時代の長寿社会では、症状の軽い、重いはあるとしても「白内障は80歳を過ぎたらみんな発症する病気」だと心得ても良いようだ。

 もっとも、白内障自体は心臓病やがんのような今すぐ命にかかわる病気ではないので、発症しても自覚症状がない人や、「物が見えにくくなった」と気になっても治療を受けていない人がいる。そのような潜在患者を加えると、患者実数は「患者調査」の9万人を大きく超えるとも推測されている。

白内障と健康保険制度の関係性

 進行した白内障は、外科手術で混濁した水晶体を摘出し、その代役を果たす人工水晶体「眼内レンズ(IOL)」を入れる治療法がとられることが多い。入院期間は長くても数日。保険適用対象の単焦点レンズを入れれば、手術・入院に伴う費用全額が健康保険の適用対象になる。

 健康保険の自己負担率は、69歳以下は原則3割、70歳以上は原則2割、75歳以上(後期高齢者医療制度)は原則1割と下がる。よって、手術をしなくてもすぐには失明しない、命にかかわるわけではない程度の症状だと、70歳や75歳の誕生日が来るまで、物が見えにくいのを我慢して白内障の手術を待つ患者もいる。

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医療費の自己負担割合
(出典:厚生労働省「医療費の自己負担」をもとに編集部作成)

 しかし、白内障は放置すると進行する病気なので、眼科医は早期の手術を勧めている。「手術待ち」は好ましくはない現象だが、白内障手術の件数で70歳、75歳に山ができるのは健康保険の制度が関係しており、医療経済上、致し方ないことでもある。

「2025年問題」で白内障手術が増える理由

 日本では人口構成上、これから2025年にかけて白内障手術の件数が上昇カーブを描いていく可能性がある。その根拠は「団塊の世代」の存在だ。

 人口ボリュームが大きい1947~1949年生まれは、2020年までに全員が原則2割負担の70歳に達している。さらに2022年から2024年にかけて、次々と75歳以上、原則1割負担の後期高齢者になだれ込む。

 いわゆる「2025年問題」で、加齢に伴い“発症適齢期”に達して実際に白内障を発症しても、「自己負担が半額になるから白内障手術は75歳になるまで待とう」と我慢していた人たちが、次々と経済上の“手術適齢期”に達する。

 そんな「手術待ち潜在患者の顕在化」がたとえ同世代の1%程度だとしても、団塊の世代は人口が約800万人なので、最低でも2017年の外来も含めた推定患者数9万800人に近い8万人前後のオーダーになり、絶対数としては大きい。

 もし、このような理由で白内障の手術数が増えれば、それに伴って眼内レンズの国内需要も拡大することになる。

【次ページ】「眼内レンズの市場予測」「国内トップ HOYAの戦略」「4月の保険適用に期待大」
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