- 会員限定
- 2018/12/27 掲載
物流の「ラストマイル戦争」が加速、VWが新しい電動自転車を投入するワケ
フォルクスワーゲンは「電動自動車」を発表
今年のロサンゼルスオートショー(オートモビリティLA)でVWが目玉の1つとして発表したのは、車ではなく電動自転車だった。配達に特化した、前方に荷台を搭載した形の自転車で、同時に発表されたEVデリバリーバンと合わせることでVWは「宅配のラストマイルソリューション」を強調した。「ラストマイルソリューション」というのは、特に米国では通勤、通学などの際によく話題になる言葉だ。米国ではニューヨークのマンハッタンなどごく一部の地域を除き、公共交通網は発達しているとは言い難い。
たとえばロサンゼルスの場合、メトロと呼ばれる鉄道、高速バスなどが提供されているが、自宅からこれらの最寄駅や停留所までをつなぐ交通機関がないため利用者は頭打ち状態だ。この最後の線をつなぐものがラストマイルソリューションと呼ばれており、ウーバーなどのライドサービス、レンタルの自転車や電動キックボード、スクーターなどを提供する企業が続々と参入している。
アマゾンの台頭で物流業界は過当競争へ
同時に、ラストマイルソリューションは宅配業界にとってもこれからますます求められるものとなる。アマゾンの登場以来、米国の宅配件数はうなぎ上りに増加している。アマゾンだけで2017年の宅配件数は500億件に上るが、これに加えて通常のUPSやフェデックス、郵便局の宅配、そして最近盛んになりつつあるフードデリバリーなど、まさに物流業界は過当競争に突入している。アマゾンが支払った発送費用だけで2017年には220億ドルに到達しているのだ。アマゾンは2016年の時点で「スモールビジネス・イニシアチブ」として配送業者を広く募っている。アマゾンと専属契約を結ぶ宅配業者となることで、「起業コストは最低1万ドル」「年間売り上げの可能性は100万-450万ドル」「利益の可能性は7万5,000ドルから30万ドル」と謳い、アマゾンプライムによる注文即日配達や30分以内の配達などの需要に応えようというものだ。
【次ページ】物流競争が環境問題を促進する中、各社EVバンを導入
関連コンテンツ
PR
PR
PR