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- 2018/08/21 掲載
じげん 平尾丈 社長に聞く、なぜ「ビジネスモデル」に徹底的にこだわるべきか
11期連続で増収増益の理由とは?
ライバルはGAFA? 人生を賭して情報の非対称性を解消する
平尾氏:私たちは、インターネット以外の分野にも進出したり、いろいろなプラットフォーム事業を手掛けているため、一体何の会社なのか、どういう方向性でやっているのか、わかりづらいかもしれません。
私自身は学生時代からアントレプレナーをやってきましたが、エンジニア、営業、コンサルタント、起業家とジョブチェンジして、すでに起業も学生時代を含めて3回目になります。リクルートに入社し、人事、事業開発、経営企画など、いろいろな勉強をさせていただいた上で、この事業を立ち上げました。
私が人生を賭して実現したいのは、コンシューマーの生活のなかで、情報の非対称性や偏在をなくしたいということです。一言で言うと「生活者のチャンスを広げる」という目的にフォーカスしています。じげんは、特に「事業家集団」というビジョンを持ち、社会問題を事業で解決できる集団でありたいと考えています。
平尾氏:確かにInstagramやFacebookのようなSNSが登場し、個人が発信する情報も増えました。しかし、人には許容できる「認知の限界」があります。かつて「アテンション・エコノミー(注1)」 というキーワードが話題になりましたが、アテンションの限界に達しており、スマホなど情報材の価値が届く範囲をしっかり整備する必要があります。非対称性の解消という点で、私たちが紙媒体の会社を株式取得したのも、地域特化型でしか持ちえない情報があったからです。情報は増えても、まだ流通していないところも多くあり、これを何とかしなければいけないと考えています。
もう1つ、私たちはB2B2C事業をやっていますが、Bの方々のメディアが持つ情報は非常にパワフルで強く、それ自体に働きかけるプレイヤーが増えないと社会が良くならないと思っています。
というのも、インターネットは、ネットワークの影響が強く、「Winner takes all(勝者総取り)」になりがちです。グーグルやアマゾン、フェイスブック、アップル(各社の頭文字をとってGAFAなどと呼ばれる)らがまさにそれでしょう。強い会社はどんどん強くなり、小さな会社を吸収して大きくなっていく構造です。しかし、そうした存在に働きかけるプレイヤーが必要だと思っています。
プラットフォーマーになるための「P on P」モデルとは?
──じげんのサービスは、認知度の大きなものから小さなものまで、多くのユニークなラインナップがあります。そのビジネスモデルは、どのようなきっかけで生まれたのですか?平尾氏:まず私自身が、ビジネスモデルを研究することが好きで、「世の中は構造で決まる」と考えているタイプです。現実の世界に置き換えると、どこにビルが建ち、どこに壁があれば、人の動きの不等式が変わる瞬間があるのか、そういうことを研究することが好きなのです。
そこで、C(消費者)やB(企業)から見たモデルの複合を、本当に建築のような形で設計をしています。マクロの変化と、プロと一般消費者の双方から愛されるモデルのバランスをうまく取りながら、マーケットインのタイミングを見計らってきました。また参入の順番も非常に大切だと考えています。現在の「P on P(Platform on Platform)」というモデルを、戦略的にやってきたのです。アグリゲーションやメタサーチの分野は、私たちがかなり国内で広げたと自負しています。
──そもそもプラットフォームについて、どのように定義していますか?
平尾氏:プラットフォームは「市場の真ん中の部分」であり、まさに自分たちでルールを決められる人たちが作れるものです。つまり、ルールメーカーをプラットフォーマーと定義しています。
プラットフォーム理論については、私も慶應SFC時代に学生ベンチャーをやりながら、國領二郎先生のゼミなどで勉強しました。イネーブラー(注2)になるのか、プラットフォーマーになるのかということは対極的であり、99.9%の企業がイネーブラーになってしまいます。そこを間違わないで設計できるように、じげんでは考えてきました。
たとえば検索エンジンからの流入が伸びるようにSEO(サーチエンジン最適化)対策の会社をつくるのは良いことですが、これはイネーブラーで終わってしまうビジネスモデルです。
私たちは、あくまでメディア企業であり、その手段としてSEOや集客のノウハウを持っていますが、これを切り売りはしません。マーケットに依存せず、プラットフォームの幾何学をちゃんと考えて、世の中に貢献できる集団でありたいからです。
無駄がないという意味の「リーン」と、起業を意味する「スタートアップ」を組み合わせて作られた造語。最低限の製品で顧客に問い、その結果をもとに高速に製品を改善していく製品開発手法・経営手法のこと。トヨタ生産方式などからも影響を受けている。
このモデルであれば投資回収も早く、どんどん横展開できます。事業部ごとの知見の共有化や自動化も進めており、再発明も早いのです。ほかにもわらしべ長者的なビジネスの種が多くあり、それがじげんの成長を支えています。
【次ページ】調達した資金はどこに分配するべきか
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