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  • 2018/06/14 掲載

なぜUber不調の中でLyft(リフト)は躍進できたのか? 共同創業者が明かす

ライドシェア群雄割拠

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ここのところ事件や事故が相次ぎ、苦境に立たされるUber。一方、同じライドシェア業界でトップ争いをするLyft(リフト)が好調だ。同社の発表によると、2017年度の売上は10億ドル超。同年第4四半期の売上高は前年同期比168%増と、成長率ではライバルであるUberの2.75倍に上るという。なぜLyftは躍進できたのだろうか?「新経連サミット」のキーノートに登壇した共同創業者 兼 社長のジョン・ジマー氏が語った。
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Lyft 共同創業者兼社長 ジョン・ジマー氏。
コーネル大学スクール・オブ・ホテル・アドミニストレーションを主席で卒業後、2年間リーマン・ブラザーズに勤務。その後、ローガン・グリーン氏とともにZimrideを設立、後にLyftを創業した

急成長を遂げるLyft、成長率はUber超え

 ライドシェア、自動車配車サービスとして北米ではUberに次ぐシェアを誇る「Lyft(リフト)」。手ごろな料金で、持続可能な地域コミュニティの都市交通を創造し、人々の生活向上を目ざしているスタートアップとして2012年に創業、サービスを開始した。

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LyftのWebサイト。サービス提供だけでなく、ドライバーの募集も行っている

 Lyftの事業は、もともとジョン・ジマー氏が大学在学中に考えたアイデアがべースになっている。ジマー氏は、駐車場に自動車がほとんど1日中置かれ、走行時も20%しか人が乗っていないことを知り、相乗りによる交通手段に興味を持つ。それが創業のきっかけになったという。

 Lyftは急成長を遂げ、いまや2000人ほどの従業員を抱えている。経営陣もフェイスブックやグーグル、アップル、アマゾンなど、世界で名だたる企業から招聘した。現時点でLyftのサービスは、米国の人口の94%が利用可能で、一日の乗車数は100万回に上るという。モデレーターを務めたCNBC特派員の藤田 晃子氏は、この1年間で大きく業績を伸びしたLyftについて、具体的な数字を紹介しつつ以下のように訊ねた。

「数字を見れば、今のLyftの勢いが分かります。去年は130%の伸び、乗車回数は3億7550万回で、売上は10億ドルを超えました。この12カ月で素晴らしい業績を達成しましたが、どうして業績がこれほど伸びたのでしょうか?」(藤田氏)

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モデレーターを務めたCNBC 特派員 藤田 晃子氏。
ロサンゼルス生まれ。南カリフォルニア大学で放送ジャーナリズムと国際関係を専攻。ABC Newsの東京特派員を経て、CNBCを代表する朝の番組「Squawk Box」の共同ホストとして活躍する

 ジマー氏は「我々は、人にフォーカスを当てています。かつて私はホテル業界で仕事をした経験があり、お客様のお世話をしたり、運転手を大事にすることの重要性を知っている。これはビジネスとして有効な考え方だと思っています」と答えた。

 ライドシェア業界のライバルには、トップのUberがいる。Lyftは、常にUberと比べられてきた。しかし2017年第4四半期の売上高をみると、Lyftは168%も増加したが、Uberは61%増にとどまった。藤田氏は「最近、Uberはトラブルもあり、勢いを少し落としているようです。Uberの成長の鈍化が、Lyftにどれくらい影響を与えているのでしょうか?」と訊ねた。

「もちろん、その影響もありますが、我々が適正なポジションにいるからこそ、そのチャンスを生かせたのです。40億ドルの資金を調達し、素晴らしいチームで課題に対応しています。自動車を保有するユーザーは毎年9000ドルも払っているにもかかわらず、その4%分しか使っていません。残り96%は無駄なコスト。もし、すべての家庭でコストを下げられるなら、大きなビジネスチャンスになると昔から考えていました」(ジマー氏)

月額のサブスクリプションモデルもテスト中

 さらに藤田氏は、カーシェアリングの話を都市まで広げ、「最終的な目標として、大都市に住む人たちが、自動車を所有することに意味がないと考えるまで、Lyftはビジネスを広げるのでしょうか?」と問いかけた。

 これに対し、ジマー氏は「実際に米国では、自動車を使う時間は全体のごく僅かだ」と答えた上で、以下のように説明する。

「最初にタクシーの代替手段として使っていたとしても、いずれ自動車所有に代わる手段として、我々のライドシェアを利用することになるでしょう。同じ方面に2人以上が行くなら、乗り合いでコストを半減できます。すでに昨年、25万ユーザーが自動車を手放したという統計もあります。さらに人の行動も変わります。我々は、利用頻度の高いユーザー向けにサブスクリプションモデルをテスト中です」(ジマー氏)

 サブスクリプションは、毎月利用料として固定額を支払うモデルで、Lyftのモデルも毎月一定回数の無料配車を提供する。どれだけ自動車を使っているかをユーザーに知ってもらうことで、その効果を再認識してもらう戦略だ。

 藤田氏は「このモデルは現在テスト中ですが、サブスクリプションがあれば、ユーザーは自動車を手放す契機になるでしょうか?」と問いかけた。

「必要なときに自分の車を自由に使える点が自動車所有の利点ですから、我々もそれに代わるサービスを提供しなければなりません。すぐに予約が可能で、3分以内に乗車できたり、緊急医療手段としての提供も始めています」(ジマー氏)

 Lyftでは、サブスクリプションモデルの考え方が多くのユーザーにとって適した交通手段になると考えているようだ。もちろん都市には自動車以外にも、鉄道やバスといった公共交通インフラもある。ポイントは、いかに自動車を所有しなければならないと考えるユーザーの固定観念を変えていくかだ。

「緊急のために自動車を持つことは良いとしても、まったく使わない2台目が必要でしょうか? 公共輸送機関は、我々のサービスの補完手段になると考えています。歩行者や環境に優しい街づくりに貢献し、経済的にも採算が合うでしょう。社会的には自動車を所有するよりも良いと思います」(ジマー氏)

【次ページ】自動運転車ではグーグル系のウェイモと提携
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