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- 2022/01/04 掲載
独自進化した中国「シェア自転車」が面白い、料金5倍になっても利用者が減らないワケ
コロナ禍の打撃はあるが新需要も生まれた日本市場
2010年代後半から耳にするようになった「シェアリングエコノミー」(共有経済)。テクノロジーを利用して、持続可能な社会構築に貢献ができる新しい経済モデルとして注目を浴びた。「平成27年版情報通信白書」(総務省)でも、ソーシャルメディアを活用した新しい経済として、シェアリングエコノミーに対してほぼ1節が割かれ、AirbnbやUberの例が紹介されている。民泊やライドシェア、モノのシェアリングなどは、新型コロナの感染拡大による外出自粛などの影響を受けざるを得ないが、意外にもシェアリングエコノミーは力強く成長をしているようだ。
シェアリングエコノミー協会の調査によると、2020年の市場規模は2兆1,004億円。これは2019年4月調査に基づく予測2兆2,909億円をわずかに下回るものの、新型コロナによるマイナス効果は意外に小さかった。同協会によると、感染拡大によるマイナス効果は避けられなかったものの、テレワークなどの行動変容により、新たなシェアリングエコノミー需要も生まれているという。
中国はコロナ禍でも2.9%成長、進むBtoB領域のシェアリング
中国では、シェアリング自転車や民泊などの生活サービスだけでなく、知識技能のシェアリング、生産設備のシェアリングというBtoB領域でのシェアリングが進んだ。「中国共享経済発展報告(2021)」(国家情報センター)によると、2020年のシェアリングエコノミーの市場規模は3兆3,773億元(約60.5兆円)。交通系や民泊などのBtoC系サービスはコロナ禍の影響で大きく前年割れとなったが、生産設備、知識技能のシェアリングが進んだことにより、全体の市場規模は2.9%成長した。
シェアリングエコノミーが抱える最大の課題とは
シェアリングエコノミーは「狭義」と「広義」で分けて考える必要がある。狭義のシェアリングエコノミーとは、情報通信白書が定義をしているように「個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービス」というものだ。現在は、個人だけでなく、法人などが保有する有休資産も対象に含める考え方が一般的だが、重要なポイントは遊休資産をCtoCまたはBtoBで共有することにより、社会全体の無駄な保有資産を減らし、持続可能な社会構築に貢献するということだ。
たとえば、ライドシェアのもともとの発想は、ライド(移動)のシェアリングだった。ある人が、自家用車で東京から横浜まで移動をしようとしている。そのとき、仲介プラットフォームを通じて、同じく横浜まで移動をしたい人とマッチングする。2人は相乗りをして、横浜までかかる移動コスト(ガソリン代、高速代など)を割り勘するというものだ。
車両の保有者は通常よりも低コストで移動でき、相乗りをする側はタクシーなどの他の手段に比べて安価に移動することができる。さらに、排出される二酸化炭素量も半分に減らすことができる。
ただし、この素朴なシェアリングエコノミーには2つの課題がある。
【次ページ】シェアリングエコノミーの最大の課題
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