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  • 2024/01/11 掲載

中国で「ライドシェアばかり」使われる理由、なぜ「タクシー」を使わなくなったのか

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2024年4月からいよいよ日本でもライドシェアが部分的に解禁となる。中国では2016年からライドシェアサービスが始まり、現在の大都市では7割の人がライドシェアを選ぶようにまでなっている。しかし、同時にさまざまな事件も発生し、それに対する安全対策をするなどの積み上げの結果、現在がある。なぜ、中国ではここまでライドシェアが支持されるようになったのか、その理由を掘り下げると、競合とも言える「タクシー」の活路も見えてきた。
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タクシーとライドシェアの共存が進む中国の事例には多くのヒントが隠れている
(Photo/THINK A/Shutterstock.com)

いよいよ解禁の日本、タクシーより人気の中国

 日本でもいよいよ始まるライドシェア。海外事情に明るい方にとっては「やっとか」とため息をつくような気分と歓迎をする気分の両方が入り交じっているのではないだろうか。

 中国では2014年、タクシー配車サービスで滴滴(DiDi、ディディ)と快的(クワイディ)の2社が激しい競争をしていたところに、米ウーバーがライドシェアで上海市に上陸する計画が明らかになった。

 危機を感じた滴滴と快的は、一転して競争をやめ、合併してライドシェアサービスをスタートさせた。ウーバーが参入したときにはすでに市場は占有された状態になっており、結局、2016年にウーバーは事業を滴滴に譲渡して、中国市場から撤退をすることになった。

 それ以来、タクシー配車/ライドシェアでは、常に滴滴がリーディング企業として業界をリードしている。


 中国交通運輸部の統計によると、2022年のタクシーとライドシェアの利用回数はほぼ6対4でタクシー利用のほうがまだ多い。しかし、これは中国国内全体の統計であり、大都市に限ると7対3の割合でライドシェアのほうが多く使われるようになっている。

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タクシーとライドシェアの利用者数の割合。2022年はほぼ6対4でタクシーが多いが、大都市に限ると7割がライドシェアとなる
(出典:中国交通運輸部)

安いだけじゃない、中国でライドシェアが支持されるワケ

 なぜ、中国の都市生活者はライドシェアを好むのか。

 その理由として「ライドシェアのほうが料金が安い」とよく言われる。だが実際の料金はタクシーもライドシェアもあまり変わらず、ライドシェアのほうが約5%から10%安いことがある程度だ。

 この価格差は、ライドシェアは需給バランスによるダイナミックプライシング(変動価格制)を導入するなどの企業努力の結果である。タクシーは距離を基本にした固定従量料金であるため、需要の少ない午後の時間帯などはライドシェアの価格が下がってタクシーより安くなるが、朝や夕食後の需要の多い時間帯にはライドシェアのほうが高くなることもよくある。

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運転手アプリでは、需供ギャップを可視化したヒートマップが見れる。色の濃いセルは、乗客が多く車が不足している場所。色の濃いセルに行くと、運転手は早く乗客を見つけられ、高い料金を獲得できる。このような仕組みで車を最適配置し、迎車時間を最小化している
(出典:滴滴ドライバーアプリ)
 ライドシェアには大別して2種類のスタイルがある。1つはC2C(Consumer to Consumer:消費者と消費者の取引)型で、個人が自分の車で移動するついでに誰かを乗せてあげるというヒッチハイク型だ。

 この場合は、燃料代や高速料金を半分程度負担すれば良いので料金としては安くなる。滴滴でも「順風車」としてサービスを提供しているが、呼んだらすぐ来るわけではなく、事前に予約をしてマッチングしてもらう必要がある。もちろん、マッチング不成立もあり得る。バックパッカーの移動や学生の帰省などでよく使われる。

 また、プラットフォームが車を用意して専属運転手で運営するB2C(Business to Consumer:企業と消費者の取引)型ライドシェア、個人がプラットフォームと契約して自分の車を使うS2B2C(Supplier to Business to Consumer:サプライヤーと企業と消費者の取引)型ライドシェアもある。

 こちらはタクシー型のライドシェアで、車の基準や検査もあり、運転手も資格が必要で、コストも料金もタクシーとあまり変わらない。それでも、大都市の住人はライドシェアを好んで使う。なぜなら、ユーザー体験が快適だからだ。

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タクシーとライドシェアのビジネスモデルの違い。ライドシェアも多くの場合、ライドシェア運転手免許と車両検査が必要になる。B2C型のビジネスモデルはタクシーとほぼ変わらない。運転手が自分の車で登録して好きな時間に乗務する場合は、自営業者として契約をするため、S2B2C型と呼ばれる。燃料代などを運転手と乗客で案分負担するC2C型のヒッチハイク型ライドシェアは、運転手の報酬はない
【次ページ】ライドシェアが選ばれる「ユーザー体験」2つのポイント
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