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- 2024/01/11 掲載
中国で「ライドシェアばかり」使われる理由、なぜ「タクシー」を使わなくなったのか
いよいよ解禁の日本、タクシーより人気の中国
日本でもいよいよ始まるライドシェア。海外事情に明るい方にとっては「やっとか」とため息をつくような気分と歓迎をする気分の両方が入り交じっているのではないだろうか。中国では2014年、タクシー配車サービスで滴滴(DiDi、ディディ)と快的(クワイディ)の2社が激しい競争をしていたところに、米ウーバーがライドシェアで上海市に上陸する計画が明らかになった。
危機を感じた滴滴と快的は、一転して競争をやめ、合併してライドシェアサービスをスタートさせた。ウーバーが参入したときにはすでに市場は占有された状態になっており、結局、2016年にウーバーは事業を滴滴に譲渡して、中国市場から撤退をすることになった。
それ以来、タクシー配車/ライドシェアでは、常に滴滴がリーディング企業として業界をリードしている。
中国交通運輸部の統計によると、2022年のタクシーとライドシェアの利用回数はほぼ6対4でタクシー利用のほうがまだ多い。しかし、これは中国国内全体の統計であり、大都市に限ると7対3の割合でライドシェアのほうが多く使われるようになっている。
安いだけじゃない、中国でライドシェアが支持されるワケ
なぜ、中国の都市生活者はライドシェアを好むのか。その理由として「ライドシェアのほうが料金が安い」とよく言われる。だが実際の料金はタクシーもライドシェアもあまり変わらず、ライドシェアのほうが約5%から10%安いことがある程度だ。
この価格差は、ライドシェアは需給バランスによるダイナミックプライシング(変動価格制)を導入するなどの企業努力の結果である。タクシーは距離を基本にした固定従量料金であるため、需要の少ない午後の時間帯などはライドシェアの価格が下がってタクシーより安くなるが、朝や夕食後の需要の多い時間帯にはライドシェアのほうが高くなることもよくある。
この場合は、燃料代や高速料金を半分程度負担すれば良いので料金としては安くなる。滴滴でも「順風車」としてサービスを提供しているが、呼んだらすぐ来るわけではなく、事前に予約をしてマッチングしてもらう必要がある。もちろん、マッチング不成立もあり得る。バックパッカーの移動や学生の帰省などでよく使われる。
また、プラットフォームが車を用意して専属運転手で運営するB2C(Business to Consumer:企業と消費者の取引)型ライドシェア、個人がプラットフォームと契約して自分の車を使うS2B2C(Supplier to Business to Consumer:サプライヤーと企業と消費者の取引)型ライドシェアもある。
こちらはタクシー型のライドシェアで、車の基準や検査もあり、運転手も資格が必要で、コストも料金もタクシーとあまり変わらない。それでも、大都市の住人はライドシェアを好んで使う。なぜなら、ユーザー体験が快適だからだ。
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