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今年4月、DeNAと横浜市が共同で行った金沢動物園での自動運転カー、ロボットシャトルの試乗会。このシャトル(小型バス)を製造するのが、フランスのベンチャー企業「Easymile(イージーマイル)」だ。同社は米国でも数々の試乗会や実際の導入を行っており、今年中にはパナソニックと共同でデンバー市の公道走行も始める予定となっている。全米初、おそらくは世界初となる自動運転バスの公道での展開や今後の見通しについて直接聞いてきた。
全米初の「公道を走る自動運転サービス」に
5月4日、イージーマイル製の自動運転バス、EZ10の試乗会がロサンゼルスの東、パームデザートで行われた。
パームデザートはテニスの大会、インディアン・ウェルズのすぐ近く、ロサンゼルスから車でおよそ2時間半の距離にある。ここで開催された政府系の都市開発コンフェレンスで、イージーマイルも未来型都市交通の一つの例として発表を行い、同時にパーキングスペースを使ってEZ10の試乗会も開かれた。
EZ10は12人乗り(シートは6人分)で走行スピードは時速20キロ(最高速度は40キロ)、最高で14時間の継続走行が可能なEV車だ。本社はフランス、ツールーズとシンガポールにあり、今年には米コロラド州デンバーにもオフィスが開かれる。
このデンバーオフィスは、パナソニックが現在進めるスマートシティ計画の拠点となるPESCO(Panasonic Enterprise Solutions Company)オフィス内に設置され、今後同社とスマートシティの中のスマート・モビリティの部分で協力して行くことになる。
まず今年夏以降から、PESCOの最寄駅であるペニャステーションから同オフィスまで、さらにはオフィスの裏手に広がる空港ホテル群にまでシャトルサービスを導入する計画がある。
この計画の意義は、始まれば全米初の「公道を走る自動運転サービス」になる、という点だ。PESCO上級副社長、ジャレット・ウェンツ氏によると、「すでにコロラド州、デンバー市から公道を自動運転走行するための法的な障壁を取り払う、という確約を得ている」という。
現在米国ではグーグルのウェイモがアリゾナ州で公道走行で実際に人を乗せるサービスを試験的に実施しているが、法律によりオペレーターが同乗する必要がある。しかしデンバーの計画はオペレーターなしの、無人状態での走行、つまり本物の自動運転サービスとなる。
私道ではすでにサービス開始済み
イージーマイルによる自動運転サービスそのものはすでに始まっている。シンガポールでは植物園が2台のシャトルを園内に走らせ、入場者はチケットを買うことでシャトルによる園内ツアーが可能だ。
また米国内ではシリコンバレー付近にあるビショップ・ランチ・ビジネスパークで、パーク内の建物の間をシャトルが結ぶサービスも間もなく始まる。ただしこれらはいずれも私有地内での走行であり、公道を走るサービスとしてはデンバーが米国初、おそらくは世界初のものとなる。
イージーマイル社のジェローム・ドリュー氏によると、「デンバー市のスマートシティ計画では、パナソニックだけではなくRTD(公共交通)とも提携しており、今後デンバー市の中心部で一部の路線バスをEZ10に切り替える話も進行中」だという。
ただしそのためには「車両をより大きいものにする」「スピードをもう少し出せるようにする」「スマホアプリによる課金制度などのソフト面を充実させる」ことが必要となる。
【次ページ】自動運転サービス導入の課題は?
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