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  • 2016/01/22 掲載

香港取引所 CEO 李小加氏「株式市場の状況は、中国経済そのものと直結していない」

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改革開放が進んでいるとはいえ、まださまざまな法規制が存在する中国市場。昨今は経済成長の減速、サーキットブレーカーの導入とその解除の混乱など、投資家の心情は揺らいでいるという。果たしてこの市場に対して、われわれはどう向かい合い、どう可能性を見出すべきか。香港取引所 CEO 李小加氏が語った。

香港を本拠地とする世界有数の取引所運営企業

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香港取引所 CEO
李 小加氏

 昨年11月に開催された「第17回 日経フォーラム 世界経営者会議 2015」では、香港取引所 CEO 李小加氏が登場、「中国市場、機会と課題の見極め方」と題して、海外投資家と中国市場を橋渡しする香港取引所の取り組みを講演した。

 香港取引所は、中国・香港に本拠を置く世界有数の取引所運営企業である。有価証券とデリバティブを中心に総合取引を行っており、2012年には世界最大規模の非鉄金属取引所であるロンドン金属取引所を買収、債券、通貨、コモディティ市場に進出した。同取引所には香港企業、中国企業、外国企業と世界各国の企業が上場、現在の時価総額は35兆ドルに上るという。

独自の相互接続制度で中国企業と海外投資家を橋渡し

 2014年11月、同取引所は上海香港ストックコネクトを開始した。これは中国の上海証券取引所と香港証券取引所との間で株式の相互取引を実現する仕組みで、それぞれの取引所を経由して、相手方の取引所に上場している銘柄を売買することができる。

 これを実現した背景には、中国企業に目を向ける投資家が増えているのに、法規制があるために中国株式市場にアクセスできないという現実があった。中国としては、投資は歓迎だが、すでに国内市場が巨大になりすぎ、今さら体制を変えたくないという思いがあり、一方、海外投資家は自分たちの慣れたやり方で投資したいと思っている。また、中国本土の市場をあまり信用していないというところがあった。そこで間を取り持ったのが香港取引所だったというわけだ。李氏は次のように語った。

「これによって、有価証券については中国市場と海外投資家を結ぶただ一つのマッチポイントが生まれた。ここでお互いの取引所の差異を約90%吸収できる。取引はネットポジションで精算、お互いに対しまとめて支払いを行い、その支払いは人民元で行われている。これは世界で初めてのことだ。

 たとえて言えば、西洋料理レストランと中国料理レストランが隣り合っていて、西洋料理レストランに行っても中国料理が注文できるようなもの。ここまで来るにはお互いに多くの協力を必要としたが、結果的にうまく機能した。デリバティブについても同様の機能を提供している。しかし、こちらは独占というわけではない」(李氏)

次はコモディティ分野でロンドンと香港を接続

 サービスインから1年が経過した2015年11月現在は、"北向き"、すなわち香港から上海へ向けてより多くの投資が行われている状態だという。将来的には中国国内の資本プールをより多く世界へもたらすことがより重要と考えており、そうなれば日本企業への投資も増えるだろう、と同氏は予測する。なぜなら彼らは西側の企業より日本企業のことをよりよく知っているからだ。

 同取引所はまた、非鉄金属の82%をコントロールしているロンドン金属取引所の機能を生かして、香港ロンドンコモディティコネクトを開設することを発表している。ロンドンの取引を香港へ持ってきて、これをアジアの時間で投資家に提供する。今後3年以内で実現、将来的には中国市場とも接続する計画であるという。

【次ページ】 株式市場の状況が中国経済そのものとは思わない
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