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- 2015/12/24 掲載
パチプロから経営者へ ベーシック 秋山 勝社長に聞く「問題解決の核心を突く」には
他企業がやっている「共通項」は何か? 異色の経歴で培った観察眼
秋山氏:本当です(笑)。しかし、怠惰な自分と決別したいと思って、最初に社会に出たのが20年前、23歳のとき。小さな商社でしたが、何でもできる会社だったので、そこでお客様のニーズを発掘する経験が養われました。
一部上場のお得意様のオフィスを歩き回って仕事を頂いているうちに、その会社の事情通になって、本当に何でも頼まれましたね。だから、あるときは企画屋だったり、印刷屋だったり、お弁当の手配までしました。いろんな物を扱うので、物の相場にもすごく詳しくなりました。
転職した2社目の会社では、より大規模で、いろいろなことを試せるようになり、多くのモノが見渡せるようになりました。27歳のときに、100人規模の物流倉庫を、何もない段階から半年で立ち上げるように命じられました。ロジスティックスなんてやった経験もなく、まったく分かりませんでしたが、何とか8か月で立ち上げに成功しました。
──いきなり事業の立ち上げとは、かなり大変な仕事ですね。
秋山氏:最初はなぜ自分がこんな理不尽な仕事を任されたのかと思っていたのですが、「やりきれば得をするのは自分じゃないの? この歳でこんな経験をさせてもらえる機会は滅多にないし、やる以上は全力でやろう」と、気持ちを切り替えました。どうせ状況が悪いなら、悪いものを1個くらいは引き受け、よいものを2つ手に入れようという発想。そうなると自分の仕事を変えることが、どれだけ得なのかという点にも気づくようになりました。
まだ若造のうちに100人規模の事業の長に収まってしまったため、この頃は「他企業がやっている『共通項』は何か?」ということもよく考えていました。お客様に工事業者がいて、現場に「挨拶」や「整理整頓」などのルールが掲げてあることに気付き、ワラにもすがる思いで試しに挨拶の徹底や朝礼・夕礼を取り入れたことがあります。物流現場でも100人規模で人がいると秩序を保つのは困難ですが、これで仕事に節目ができ、チームの動きが揃いやすくなりました。そうすると不思議なもので、整理整頓も社員が自発的に始めるようになりました。
──特別指示しなくても、そういった形になったと。日本人の特性もあるのですかね?
秋山氏:あるんでしょうね。以前はそういうルールを軽んじていましたが、昔から受け継がれることには何か理由があることが分かりました。挨拶の徹底は、私にとってエポックな出来事でした。やってムダなことはなく、実際にムダでも、その経験は次のアクションに活きるわけです。要はムダだと決めつけないほうが、結果的に自分の目的に近づけるということが分かり、いろいろなことに臆せずトライできるようになりました。
物流倉庫を立ち上げた後、ITの部署に配属になり、そこでITサービスの立ち上げに参画しました。私のITキャリアが始まったのはここからです。そして3社目のトランスコスモスという会社では、新規事業の立ち上げのメンバーとして呼ばれました。その事業をやりきって、その過程で見つけた気づきをもとに、現在の会社を作りました。
──それは、どのような気付きだったのでしょうか?
秋山氏:その時はマーケティング事業部で代理店事業に近いことをやっていました。企業のHPの作成などでコンペになる度に、競合に仕事を持っていかれてしまうのですが、その要因を分析すると、料金は一緒でも、彼らには自社メディアがあり、その抱き合わせで提案するため、要はその「オマケ」が付くことで負けてしまうことが分かりました。
そのころ私が一番注目していたのは「ターゲティング・メディア」でした。まだWebも黎明期だった当時は、ポータルサイトが人を集め、注目されていました。逆に、自分の欲しいものや課題に対し、明確な解を与えてくれる専門サイトがほとんどなかった。これはチャンスだと思って社内で提案したのですが、企画が流れてしまい、自分で立ち上げようということになったわけです。
【次ページ】 「核心を突く」事業を手がける問題解決集団
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