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- 2015/11/27 掲載
世界水準の倍の伸び見込み なぜインドeラーニング市場は世界一有望なのか
インドIT最新事情
躍進するデジタル・インディア
教育システムの整備が進むインドでは、すでに100万を超える学校と約1万8千の高等教育機関が設立されている。自らの能力に応じた教育を受けることができるようになってきている中で、インドの国民は、ITを活用することで明るい未来が約束されると信じているようだ。
実際、教育の場におけるITの利用は、ここ数年で大きく進展している。みんなが一つの教室で授業を受けたような従来のシステムから、手軽に、自分が学びたい時に、オンラインで学べるシステムへと変化を遂げてきている。インドの教育システムがたどってきた数多くの発展の証の中でも、最も新しい現象、それがeラーニングだ。
英印ビジネス・カウンシル(UK-India Business Council)の最新レポートは、「デジタル・インディア」の号令下、政府が1兆1,300億インドルピーを投下することで、すでに米国に次ぐ規模に成長したインドのeラーニングはさらに爆発的に成長する、と述べている。この国の高まるITニーズに応えるには今の教育インフラは脆弱だが、「デジタル・インディア」の取り組みで、今まで利用しなかった層にもインターネットの普及が進むだろう。
同レポートによれば、電子情報技術局がその担い手となって、ツールや技術を導入し、さまざまな教育機関で推進されているeラーニングを利用した研究開発プロジェクトを支援しているとのことだ。コンテンツ・技術・人材の開発において、あるいは大学での学部教育において、eラーニングでの隔地指導がリテラシー向上に一役買っているとも、レポートでは言及されている。
インドeラーニング産業の現状
現在、インドのeラーニング市場は200億米ドル。2017年までには、倍の400億米ドルに成長すると言われている。なぜインドのeラーニング市場は、こうも成長が見込まれるのだろうか。そこには、インドならではの事情がある。現時点で必ずしも将来の期待に応じうる教育システムが整っていないだけに、社会のさまざまな層からの期待もあいまってPCなどの電子機器やインターネットが一段と普及し、政府も本腰を入れて援助することで、インフラや諸制度の整備も進展する、という構図である。今の教育環境は充分とは言い難く、ゆえに成長の余地があると言えるのだ。eラーニング需要は、教育現場のあらゆる面で認められている。
インドの若者はIT技術に敏感で、さまざまな教育機関を通じてeラーニングを盛んに利用している。ウェブが使えるのならどんどんウェブの「いいとこ取り」をしてやろうというわけだ。人気があるのは、インド経営大学院(IIM)、インド工科大学(IIT)、インド外国貿易大学(IIFT)といった名門国立大学や、シンビオシス国際大学、シッキム・マニパール大学、IILM、といった有力私立大学の遠隔地オンライン授業である。
eラーニング産業にはまだまだ充分に伸びしろがある。そのためにはまず、インターネットへのアクセスのしやすさの向上が欠かせない。また、国内外から多くのネット関連業者が来てコミュニティが形成されれば、浸透も進むだろう。教育機関に限らず一般企業においても、従業員の継続学習といった経営戦略上の必要のために、あるいは社内でのスキルセットの継承のために、eラーニングのプラットフォームが構築されて来ている。
インドでのインターネット利用者の数は2億5千万人に迫る勢いであり、これは中国に次ぎ、また米国に匹敵する。とんでもないポテンシャルを秘めているeラーニング市場なのだ。
スマートフォンによるインターネットアクセスが今後、膨大になっていくだろう。これも市場として見るとき好都合だ。それぞれの利用者に合ったビジネス上の仕掛けを可能とするプラットフォームが提供されてゆくことになる。
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