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- 2015/08/21 掲載
ネットショッピングの「困った」に挑む新しい宅配ビジネス
ビジネス創生は実体験の「困った」から
これには、2014年現在で約12.8兆円(経済産業省発表による)と成長著しいEコマース市場の存在(図2)が大きく影響しているものと言われている。
ところが、そのように需要が拡大する一方で、運送業界の宅配網は将来的にパンクするのではないかというリスクも指摘されている。ドライバーの人手不足、賃金上昇、高齢化といった事情があるからだ。
また社会的背景から見ると、単身世帯や共働き世帯の増加という世帯構造の変化があり、日中に宅配を受け取れない人も広がっている。不在、再配達という状況が幾度も発生し、物流の非効率が顕在化してきた。荷物の受け手にとって、商品がなかなか手元に届かず、再配達の連絡をするにも手間がかかり、少なからぬストレスの要因となっている。
このような問題を解消すべく、早朝・深夜・24時間ジャストタイムの宅配を可能にする新しい流通サービス「Scatch!(スキャッチ)」を立ち上げたのが武藤 雄太 氏だ。同氏は、Scatch! をスタートさせた経緯について次のように語る。
「サービスを思いついたのは、自身の実体験からです。私は、これまでネットショッピングを頻繁に利用していましたが、平日は夜遅く帰宅するため、荷物を受け取れないという経験が何度もありました。週初めに購入した荷物がすぐ家の近くまで来ているのに、週末まで受け取れないのです。何とかできないものか、という思いがありました」(武藤氏)
自由な時間に自宅まで荷物を届けてもらえるサービスがあれば、便利なのだが。そこで同氏は、ソフトバンクグループの社内ベンチャー制度「ソフトバンクイノベンチャー」を活用し、アイデアの実現を進めた。
ソフトバンクイノベンチャー:ソフトバンクグループ内の全社員を対象とした、新規事業提案制度。経営理念の「情報革命で人々を幸せに」を軸に、自由なテーマでアイデアを募り、複数の審査を経て、事業化の検討案件を決定。事業化が決定した案件は、提案者が主体となり推進する。2014年度は、約1200件の応募のうち10件が審査を通過した。
【次ページ】 ITで物流に「細やかさ」をもたらす
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