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- 2015/07/27 掲載
アドラー心理学は、なぜ「劣等感が力になる」と説くのか
競争に勝ったほうは嫌われるもの
この優越性を追求するとき、つまり競争に勝とうとするときに知っておかなくてはならないのは、勝ったら往々にして嫌われるということです。引退した朝青龍は、勝ったときに負けた相手に優しくないという理由で嫌われましたが、たとえ負けた相手に優しくしても、負けたほうは嬉しいとは思わないはずです。
負けた人の心理について、もしもフロイトやメラニー・クラインに聞くことができれば、「負けたほうは勝った者に対して嫉妬する」と言うかもしれません。コフートなら「負けたほうは自己愛が傷つく」と言うかもしれません。アドラーなら「負けたほうは劣等感を抱く」と言うでしょう。結局、負けたほうは嫉妬したり自己愛が傷ついたり劣等感を抱くなどするのです。つまり、勝つということは負けたほうに不快感を与えるわけですから、勝ったほうは嫌われやすいのです。
アルフレッド・アドラー:1870-1937。共同体の中の個人という視座を開き、フロイトやユングと並び称される心理学者。
ジークムント・フロイト:1856-1939。精神分析を創始するなど、多方面に多大な功績を残した精神医学者。
メラニー・クライン:1882-1960。児童精神分析の分野で著名な精神分析家。
ハインツ・コフート:1913-1981。「自己心理学」を確立したことで知られる精神分析家。
そういうことを考えると、人に嫌われたくないと思っていては、勝つことができないということになります。学歴競争でも、「受験に落ちた人は不快感を持つだろうな」などと気にしていたら、手に入れたい学歴を得ることもできません。競争という点では、やはり他人の目を気にする必要はないのです。
現代は劣等感を持っている人が多い
いまの時代は劣等感を持つ人が多いと私は考えています。その理由は、昔に比べて負けている側のハンディキャップが大きくなりすぎているからです。振り返ると、昭和20年代、30年代はみんなが貧しかったわけですが、当時は公立高校に行って受験競争で負けたとしても、誰も最初から負けるに決まっていると思って競争していたわけではありませんでした。
ところがいまは、中学・高校の段階で勝ち組と負け組にほぼ分かれてしまい、負け組に入った子どもは「どうせ勝てないや」と思って、そこで劣等感を抱くわけです。
ところがいまは、「オレは躍起になって受験勉強をしたのに、この程度の大学にしか行けなかった。どうせオレの学歴が低いから子どもに勉強させたってダメだよな」と考えている親が多いのです。
そういう考えを抱かせる大きな理由としては、戦争が終わって70年も経っていて、たとえば祖父も父も子どもも東大出という家が生まれてきていることが挙げられます。しかも、高学歴であることから収入の多い職種に就く確率が高く、そのために代々金持ちというケースも少なくありません。
【次ページ】 劣等感こそが力になる
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