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- 2015/05/11 掲載
iPS細胞研究所 山中 伸弥氏が語る、iPS細胞を生んだ「ビジョンとワークハードの発想」
基礎医学の研究者として渡米し、大切なビジョンを思いだす
「脊髄損傷になってしまうと、基本的にどうすることもできない。将来、こういう患者を治せるようになるとすれば、それは基礎医学研究しかない。そこで、臨床医から基礎医学の研究者になった」(山中氏)
それから数年後、山中氏は研究者として渡米。サンフランシスコのグラッドストーン研究所に研究員として留学していたとき、同氏にとってiPS細胞発見に大きな影響を与える出来事があった。当時の研究所長のロバート・メーリー博士から研究者として成功する秘訣「VW」を聞いたことだ。
VWとは「Vision & Workhard(ビジョンアンドワークハード)という意味。当時誰よりもハードに働いていたという山中氏は、ある時ロバート博士にビジョンについて訊かれた。同氏が“いい論文を書きたい、良い職に就きたい”と答えたところ、“シンヤ、それはビジョンではない。どうしてわざわざアメリカまで来たのか? 子どもと奥さんまで連れて来て”と言われた。
山中氏はそこで目が覚め、本来のビジョンを思い出したそうだ。「難病患者を研究によって治したい、それが本当のビジョンだった。以降このビジョンを忘れないように心がけてきた」と当時を振り返った。
もうひとつ、山中氏が留学時に出会った大切なものが「ES(Embryonic Stem Cell)細胞」だ。この研究は、1981年に米英の研究者が親ネズミの受精卵を取り出し、実験室での培養に成功したのが始まりだった。ES細胞をつくったマーティン・エヴァンズ氏は業績が評価され、2007年にノーベル賞を受賞した。
「ES細胞には2つの大きな性質がある。1つ目は、ほぼ無限に増やせること。2つ目が、細胞増殖後に、神経、筋肉、皮膚、血液など、体に存在する200種類以上のあらゆる細胞をつくり出せることだ。私は留学中にES細胞に出会い、以降20年間にわたってES細胞をはじめとする万能細胞の研究に携わってきた」(山中氏)
【次ページ】山中氏はいかにしてiPS細胞を発見したのか?
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