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- 2014/12/24 掲載
サイボウズ 青野 慶久社長が提言、日本社会の4つのリスクをチャンスに変えよう
日本社会が抱える課題に対してIT企業ができることは何か

代表取締役社長
青野 慶久 氏
「原因は、目の前の問題から目を背けてきたからではないか」。cybouz.com conference 2014の基調講演に登壇したサイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏は、このように切り出し、現在の日本社会が抱えている「エネルギー問題」「持たざる経営」「少子高齢化」「多重下請け構造」の4つのリスクを挙げた。
周知のとおり、エネルギー問題は、東日本大震災時の原発事故が引き金となって深刻化したものだ。化石燃料の調達増大を招くとともに、CO2排出量の増加による地球温暖化や異常気象への影響も懸念されている。それでいながら再生可能エネルギーの開発は、遅れているのが実情だ。
そうした中でITに携わる企業にできることはないのか。青野氏が示したのが、「電力消費量を減らすこと」「再生可能エネルギー開発の支援」という2つの提案である。
たとえば、テレワークを支援すれば、都心のオフィスへの人の移動と集中を防ぎ、エアコンなどの電力消費を40%以上削減することが期待できるという。また、再生エネルギー開発に関しては、クラウドベースのビジネスアプリ作成プラットフォーム「Kintone」を利用し、大規模な太陽光発電所をリモート管理することで運用管理の低コスト化を実現した横浜環境デザインの事例を紹介した。
「ITによってリスクをチャンスに変えることができる」(青野氏)
2つ目の「持たざる経営」とはいかなるものだろうか。青野氏は、電気自動車で自動車業界に新規参入した米テスラ・モーターズや、スマートフォンを使ったタクシーの配車サービスで注目を浴びるUber社を例に挙げ、現在の成長企業はコアコンピタンスに徹底的に集中することで、かつてない付加価値を生み出していることを示した。それ以外の部分については、アウトソーシングによってビジネスのスキームを構築しているのである。
「クラウドを通じたヒト・モノ・カネの調達が容易になっており、持たざる経営を実践する業界の破壊者は、今後も相次いで新規参入してくる。既存企業の経営資源は不良債権になりかねず、新しいビジネスモデルの後塵を拝するリスクが高まっている」と青野氏は警鐘を鳴らした。
だからこそ、既存の企業にとっても「クラウド時代を見据えた付加価値創造」と「社外とのコラボレーション強化」が欠かせない。
大型コンピュータの時代に、会計や受発注業務などの情報化が行われた。パソコンの時代には、デスクワーカーの情報化が進んだ。インターネット時代には、コンシューマーがネットにつながった。では、これからのクラウド時代にどんな変化が起こるのか、「フィールドワーカーやモノが相互につながるIT化に注目すべき」と青野氏は説いた。
少子高齢化で国内市場は縮小、グローバル市場にいかに乗り出すか

営業企画部長
祈 秀章 氏
なかでも昨今のほとんどの日本企業にとって不可避となっていのが、グローバル市場への進出ではないだろうか。このテーマに果敢にチャンレンジしているサイボウズユーザーとしてゲストに迎えられたのが、アサヒビール中国の営業企画部長を務める祈秀章氏である。
日本国内でこそ「アサヒスーパードライ」と言えば、誰もが知るビールのトップブランドだが、祈氏によると「年間ビール消費量5,000万キロリットルを上回る世界一の中国市場では、わずか0.4%のシェアしか取れていない」のが実情だ。
プレミアムビール市場だけでも近い将来に日本を追い抜くと見られるその巨大市場に本腰を入れて切り込んでいくため、アサヒビール中国は営業活動を強化している。
具体的にどんな活動に注力しているかというと、ビールサーバーやジョッキ、グラス、店内に張り出すポスターなどの飲食店向けの販促品の展開だ。「ビールサーバーの在庫管理と配送をホシザキ電機に、その他の販促品の在庫管理と配送をヤマト運輸に委託するという3社合同チームを編成し、市場開拓にあたっている」のだという。
【次ページ】スパラルアップ開発に先進的に取り組むジュピターテレコム(J:COM)
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