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- 2014/08/29 掲載
積水化学工業のAWS活用法 なぜ2万人のメール基盤にSaaSではなくIaaS?
また、個人的意見と断りながらも指摘された「ITの運用部門は非常に厳しい環境に置かれている」という点も、企業のクラウド採用が進む背景として無視できない現実でしょう。
クラウドという技術はエンジニアにとってエキサイトなものと多くの人が感じつつ、いざ企業のクラウド導入という文脈ではなかなか語られなかった面にスポットを当てたこのセッションについて、クラウド採用のきっかけとオンプレミスとの比較、そして結論部分を中心にダイジェストで紹介します。
オープンソース&内製化&クラウド移行で情報系システムを進化
積水化学工業株式会社 コーポレート 情報システムグループ 部長 原和哉氏。AWSへの移行対象となったシステムは「Smile」という社内システムです。
Smileは間接業務の削減や効率化を目的として、2004年にメール機能、2005年にグループウェア機能などを実装、日英中の言語にも対応し、社内のナレッジマネジメントやグローバルな情報共有を行う、積水化学グループ全員が使うイントラ基盤です。
ポータル画面がSmileの顔になっていて、メールが中心的な機能。CMS以外はすべて自社開発のオープンソースソフトウェアです。そして今回2013年に、AWSへの移行による機能強化やBCP(ビジネス継続計画)対応などを行いました。
移行の検討を始めたのは、メールストレージの保守期限が来て、ハードウェアを更新しなくてはいけないのがきっかけでした。でもこのストレージが高価で、2万人のメールを預かっているのでひと声何千万円の世界です。高価なので一人当たりにはそんなに容量を渡せなくて、一人あたり100メガバイトまででした。従業員からは「しょぼい」という声もありました。
Smileは延べで100台くらいのサーバで動かしていますが、これを20台ずつ入れ替えても5年がかりで、これもまた大変です。新しいサーバを買って、インストールして動いたらデータをコピーして、古いサーバの空き地にまた新しいサーバを入れてというのは、全然やりたい作業ではないですね。
また、コンプライアンスの件でメールのアーカイブ機能がほしいという要望もありました。震災の後ですからディザスタリカバリも求められますし、社業がグローバルになっていくので、インターネットで利用できるものにしたいですね、というのもありました。
【次ページ】 オンプレミス、SaaS、IaaSの比較でIaaSに決定
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