- 2014/11/10 掲載
経済産業省も推進するOSSとクラウドの活用が、ベンダーロックインから脱却させる(2/3)
4名のエンジニアが、本業をしながらメインフレーム移行を完遂
同社がメインフレームを最初に導入したのは1970年だった。以降、この上で稼働する基幹システムを少しずつオープンシステム化しながら、数度のリプレースを繰り返して運用を続けていた。最後に残ったのは販売管理システムで、次のリプレース期を目前にして、再びメインフレームかそれともオープンシステム化するかの岐路に立った。
部内でオープンシステム化の目的やメリットを議論したところ、「TCO削減」「Web化」「開発言語やミドルウェアを自由に選択したい」「処理スピードを向上させたい」など10近い項目が上がった。
パッケージも含め取るべき選択肢は3つ。しかし、全業務統合でなければパッケージ導入は効果がないと判断。そして、トータルコスト、システムの柔軟性、将来性、最新技術との連携などの観点からリホストを選択した。具体的なマイグレーションベンダの選定では2社を候補に上げ、前掲要望点の実現可否で比較検討して東京システムハウスを最有力とし、セミナー出席やユーザー企業訪問で確信を得た上で正式採用を決定したという。
しかし、マイグレーションのプロセスでは懸念した点も多々あったようだ。及川氏は懸念事項とそれぞれに対する同社の対応策を詳細に解説した。たとえば、従来の画面定義体(PSAM)をWeb環境へ移行することによって、エンドユーザーの業務効率が落ちないように、オープンらしいデザインとしながら、キー操作はメインフレームを踏襲した。
それによりユーザー教育に対する工数も削減できた。また、メインフレーム固有のDBをRDBへ移行するためプログラムの大幅改修が必要と思われたが、COBOLソースのREAD/WRITE命令は無変換移行し、変換バグによる障害発生リスクをなくすとともに、メインフレームと変わらない保守性を実現したという。
こうしたさまざまな創意工夫を凝らしたほか、4名の販売管理システム運用エンジニアで行うテストプロセスにおいても、準備、実施・検証ともに徹底的に自動化。工数および人的ミスを削減することに成功した。及川氏は「本稼働から2カ月、新システムはバッチ処理を中心に処理速度が向上、また安定的に稼働している。またWebブラウザ移行で端末ライセンスが不要になり、ユーザーIDを100から250に増やすこともできた」と導入効果を説明した。
今後、同社はWebブラウザバージョンアップや不要ロジックの整理、オンラインプログラムのユーザビリティ向上などに尽力していくとのことだ。
【次ページ】経産省も推進する、中小企業クラウド利用の実証支援事業
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