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- 2014/10/27 掲載
社内に不満分子を作らないために読む民話:人を動かす極意
むかし話のネゴスターに学ぶ人を動かす極意
スコットランドはバグパイプやキルト、スコッチウイスキーなどケルト人独自の文化を持ち、アングル人(ゲルマン人の一種)が設立したイングランド(英国人口の83%を占める)とは一線を画す歴史を持つ。
また、イングランドに併合された国(スコットランド、ウエールズ、北アイルランド)は企業で例えるなら、吸収合併された会社のようなもの。だから、被害者意識はどうしてもぬぐえるものではない。このような背景が独立運動に拍車をかけたものと推察される。
事実、イギリスの代表的な民話、「ジャックと豆の木」ではジャックをケルト人、雲の上の巨人をノルマン人として描かれている。
えっ、アングル人じゃなくてノルマン人?
この物語が書かれたとされるアルフレット大王時代(871年~899年)はケルト人を北方へ追いやったアングル人がイングランドを支配し、その後、300年ほど経ちバイキングで有名なノルマン人(フランスのノルマン公)がイギリスを支配。一時期はフランス語が公用語となった。
つまり、英国の歴史は他民族からの侵略の歴史であり、その時代により巨人がノルマン人になる、非常に興味深い民話なのである。
実はこの民話の中にこそ、企業合併がうまくいくヒントが隠されているのである。
なめると怖いジャックの行動
ここで民話、「ジャックと豆の木」のおさらいをしたい。貧しい農家で暮らすジャックは母親に言われて、エサを与えられずに乳の出なくなった牝牛を市場へと売りに行く。しかし、途中で出会った男にしつこく言われ、やむなく豆と牛を交換してしまう。
家に帰ると怒った母親により「こんな豆なんか食べても足しにもならない、今日は晩御飯抜きだよ!」と言われ、豆を庭に捨てられる。 次の朝、ジャックが起きるとその豆は巨木へと成長。ジャックは豆の木を登り雲の上にある巨人の城にたどりつく。
ジャックを見つけた巨人の妻は「夫は人食い鬼なので早く逃げるように」と言うが、タイミングが悪く巨人が帰ってきてしまう。
巨人の妻はジャックを隠すが、巨人は子供の匂いがする(イングランド人の匂いがする)と子供を探す。しかし、見つけられず巨人は寝てしまう。
その隙に、ジャックは金の卵を産む鶏を奪って家に戻る。さらに、ジャックは豆の木を登り、金と銀の入った袋と唄うハープを奪うのだが、逃げる途中にハープが喋り出し巨人は起きてしまう。
急いで地上に逃げたジャックは豆の木を斧で切り、追って来ていた巨人は落ちて死ぬ。裕福になったジャックは母親と幸せに暮らす、めでたしめでたしといった話である。
これだけならただの泥棒の話だが、後に巨人の宝はジャック(イングランド人)の亡父が持っていた物で、巨人(ノルマン人)に奪われたと加筆されている。
さらに、冒険活劇としてジャックを英雄に仕立てるストーリとして現代に語り継がれることになる。
侵略された国民はこの民話を美化していくことで溜飲を下げていたのではないだろうか?
景気の流動化で企業買収が進む中、ジャックと豆の木のような話は日常茶飯事なのではないか。そして、吸収された企業の社員は遣るかたない不満を民話ならぬ、ソーシャルメディアやブログにぶつけることになりかねない。
さらに内部告発やあることないことをマスコミにリークされれば結果として自社の株価は下がり、風評被害は業績の悪化につながりかねないだろう。 では、どのようにすれば社内にジャックを作らないのだろうか?
【次ページ】社内に「ジャック」を作らないためには?
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