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従来はどちらかというと「家庭向け」「エンターテインメント用途」といった印象の強かった液晶一体型PCだが、実はビジネスにおいてこそ「省スペース性」「省電力性」といったメリットが大きく、ここのところ注目を集めている。そこで今回は、ビジネスシーンでの液晶一体型PCのメリットを探るとともに、各メーカーの製品を比較し、最もビジネス用途に向いた1台を選定してみた。
(製品比較の機種選定・比較は、ソフトバンク ビジネス+IT編集部が実施しています)
実はビジネスシーンでも便利に使える液晶一体型PC
PC本体とディスプレイを1つの筐体にまとめた「液晶一体型PC」は、従来は家庭のリビングなどに設置し、家族みんなで使うことを目的として「ホームPC」のジャンルで多く利用されてきた。しかし最近では、ビジネス向けPCとしても注目を集めている。実際にビジネスでの利用シーンを考えてみると、液晶一体型PCを導入するメリットが数多くあることに気づくのではないだろうか。
まず一番のメリットは、省スペース性が抜群に高いことだ。液晶一体型PCの場合、本体とディスプレイが一体となっていることで、各種の部品が共用されている。本体とディスプレイが分離している一般的なPCの場合、それぞれ別個にスペースを取るため、狭い机の上で利用することの多い日本の職場事情では、かなりの設置面積を占めることになる。また、本体・ディスプレイ間のケーブルが存在しないのも大きい。ケーブルを這わせるためのスペースを必要としないので、デスク上の占有面積が非常に小さく収められる。
また、ここのところ注目度を増している「節電」についてもメリットがある。PC利用時を考えたとき、PC本体だけの消費電力を見るのではなく、加えてディスプレイの消費電力も考慮しなければならない。そうしたとき、本体とディスプレイが一体で、電源系統もまとめてある液晶一体型PCの方が、概して消費電力は低くなる。特に東日本大震災以降、電力を巡る状況は一変している。電気料金の値上げといったコスト面の要請もあるが、企業の社会的責任としても、ムダな電力使用は極力抑えるべきであろう。
価格面のメリットもある。本体とディスプレイを別々に購入するよりも割安なことが多いのだ。ビジネスPCでは、項目が多数ある表計算ソフトのファイルなどを開くことも多いので、1920×1080ドット(フルHD)など解像度の高いディスプレイがあったほうが業務効率は格段に向上する。しかし、その効果を定量的な指標で示すのは難しく、「PCを新調するメリットはわかるが、ディスプレイは見えればよいだろう」など、フルHD液晶単体での導入に関して社内の意思決定を得るには、骨が折れるはずだ。その点PCと一体型であれば、別個に購入するよりも安価に導入でき、PC部分を新調するメリットもあるため、予算が通りやすいというケースがよくある。
「液晶一体型ならばノートPCのほうがいいのでは?」と思う人もいるかもしれない。しかしノートPCの場合は、持ち運びも考えて設計されているので、その分価格的には割高になっている。またディスプレイのサイズも、通常は一体型PCより小さくなる。またキーボードまで本体に統合されているため、ディスプレイとキーボードの距離を離すことができない。20インチ超クラスのディスプレイとなるとかなり大きいので、あまり距離が近いと圧迫感があるし、長時間作業では目にも負担がかかる。その点、キーボードとマウスは分離している液晶一体型PCのほうが、デスク上での配置の自由度は高い。
このように液晶一体型PCには、省スペース性、設置・メンテナンス、価格など、ビジネスシーンにおいても多くのメリットがあることが分かる。それでは実際に液晶一体型PCを導入するさいには、どういった点に着目して製品選びを行っていけば良いだろうか。まずPCであるからには、その処理速度は重要な問題だ。ビジネスで使うからには各種セキュリティ機能は欠かせない。また、液晶一体型PCならではの省スペース性や、昨今のオフィスでは重視される省電力機能にも着目したい。そこで今回は以下のポイントについて、徹底的にチェックを行ってみた。
5社それぞれの液晶一体型PCを比較検証
今回は主要5メーカーの液晶一体型モデルのうち、19~23.1インチ液晶パネルを搭載した製品をピックアップし、前述のような観点を踏まえつつ比較検証を行ってみた。各社製品についてはBTOで選べるパーツ構成が異なるため、スペックを厳密に揃えることはできなかったが、各社のCore i5/2.40GHz、2.50GHzクラスのモデルをピックアップしてそれぞれについて検証した。
取り上げた製品は、デル「Vostro 360オールインワンデスクトップ」(以下、Vostro 360)、日本電気(以下、NEC)「Mate MK24T/GF-D タイプMG」(以下、Mate タイプMG)、日本ヒューレッット・パッカード(以下、日本HP)「HP Compaq 8200 Elite All-in-One/CT Desktop PC」(以下、HP Compaq 8200)、富士通「ESPRIMO K552/D」、レノボジャパン(以下、レノボ)「ThinkCentre Edge 91z All-In-One」(以下、ThinkCentre Edge 91z)の5製品だ。各製品のスペックについては、以下の表で確認してもらいたい。
表1■今回取り上げる液晶一体型PC
機種名 Vostro 360 デル Mate タイプMG NEC HP Compaq 8200 日本HP
本体画像
概要 薄さと高速性を追求したオールインワンPC。液晶ディスプレイは、タッチスクリーン付き23インチ液晶を選ぶことができ、指で画面を触って直感的な操作が行える。また本体の奥行きが約79mmと非常に薄い。壁掛けで使うことも可能と、省スペース性を意識したモデルとなっている。 NECの液晶一体型PC。今回テストした中では唯一の19インチワイド液晶モデルで、コンパクトにまとまっている。利用者の不在を感知して自動消灯する「離席センサ」や、電力測定機構の内蔵と付属ツールにより電力使用状況の「見える化」を実現している。 充実のセキュリティ機能、高度な管理機能を備えた日本HPの液晶一体型PC。スタイリッシュで機能的なデザインを採用しており、本モデルでは液晶下部にキーボード収納スペースを設けるなど省スペース性に優れている。また省電力性に優れた80PLUS電源や、消費電力を管理できる「HP Power Assistant」などを搭載する。
CPU Core i5-2400S(2.50GHz) Core i5-2430M(2.40GHz) Core i5-2400S(2.50GHz)
チップセット Intel H61 Intel HM65 Intel Q67
メモリ 4GB(4GB×1) 4GB(4GB×1) 4GB(2GB×2)
HDD 3.5インチHDD(500GB、SATA 6GB/s) 3.5インチHDD(250GB、SATA 6GB/s) 3.5インチHDD(500GB、SATA 6GB/s)
液晶 23インチワイド(1920×1080ドット・光沢) 19インチワイド(1440×900ドット・非光沢) 23インチワイド(1920×1080ドット・非光沢)
OS Windows 7 Professional(32ビット版) Windows 7 Professional(32ビット版) Windows 7 Professional(32ビット版)
機種名 ESPRIMO K552/D 富士通 ThinkCentre Edge 91z レノボ
本体画像
概要 省スペース性に配慮した液晶一体型PC。左右側面にインターフェイスが存在せず、光学ドライブなどを正面にまとめたほか、背面のコネクタ部を覆い隠せるカバーが付いており、非常にスッキリした配線が可能。またタバコの匂いを脱臭したり、菌を分解することができる「ナノイー」発生ユニットを標準搭載している。 シンプルなデザインの21.5インチワイド液晶一体型PC。横長の画面を4分割して使用できる新機能「Lenovo View Manager」を搭載。また内蔵カメラを利用して、離席時にPCの画面を自動ロックする「Autolock」機能なども備えている。筐体を無理なく運べるキャリーハンドルがあるほか、壁掛けでも使用することが可能だ。
CPU Core i5-2520M(2.50GHz) Core i5-2400S(2.50GHz)
チップセット Intel HM65 Intel B65
メモリ 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2)
HDD 2.5インチHDD(500GB、SATA 3GB/s) 3.5インチHDD(320GB、SATA 6GB/s)
液晶 23インチワイド(1920×1080ドット・非光沢) 21.5インチワイド(1920×1080ドット・光沢)
OS Windows 7 Professional(32ビット版) Windows 7 Professional(32ビット版)
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